AI時代のデザイン発注、その“常識”はもう古いかもしれない

「最近のAIはすごいらしいね。デザインもAIに任せれば、コストを抑えて、しかもスピーディーにできるんじゃないか?」

あなたも、一度はこんな期待を抱いたことがあるのではないでしょうか。生成AIの進化はまさに日進月歩。簡単な指示(プロンプト)で、プロ顔負けの画像やデザイン案が次々と生み出される様子を目の当たりにすれば、デザイン制作のあり方が根底から変わる、そう考えるのは自然なことです。

特に、限られた予算と人員で最大の効果を求められる中小零細企業にとって、「コスト削減」と「スピードアップ」は永遠の課題。AIがその特効薬になるという期待は、とても魅力的です。

しかし、ここで一度立ち止まって考えていただきたいのです。

その考えは、本当にあなたの会社の成長に繋がるでしょうか?

目先のコストやスピードだけを追い求めた結果、数年後に「こんなはずではなかった」と後悔する事態を招かないでしょうか?

結論から申し上げます。AI時代に企業が真に導入すべきは「AIツール」そのものではなく、「AIを戦略的に使いこなす人間、すなわちプロのデザイナー」です。

そして、デザインを外注する際の選択基準も、単に「作れる」から「AIを駆使して“勝てる”デザインを創れる」へと、大きくシフトさせる必要があります。

この記事は、よくあるAI礼賛や、逆にAIを否定するような単純な二元論ではありません。AIという強力な武器を、いかにして自社のマーケティング施策に組み込み、競合を凌駕する成果に結びつけるか。

そのための、経営者視点での「人」の選び方、パートナーシップの築き方について、具体的かつ深く掘り下げていきます。

なぜ、AIに“丸投げ”してはいけないのか。

なぜ、「AIを使う人」に投資することが、結果的に最高のコストパフォーマンスを生むのか。

この記事を読み終える頃には、あなたのデザイン発注に関する“常識”はアップデートされ、自社の未来を切り拓くための、明確な指針と確信を得ていることでしょう。

それでは、本題に入ります。

第1章:AIデザインの甘い誘惑と、経営者が陥る「見えない罠」

まず、なぜ多くの経営者や担当者が「AIに直接デザインを任せたい」と考えてしまうのか、その心理と背景を整理しておきましょう。その魅力は、主に3つのキーワードに集約されます。

  • 圧倒的なスピード:人間が一晩考えるようなデザイン案を、AIは数分で何十、何百と生成
  • 劇的なコスト削減:デザイナーへの依頼費用を大幅にカットできるという期待
  • 専門知識不要という幻想:簡単な言葉で指示するだけで、望むものが手に入るという手軽さ

これらは間違いなく事実の一面を捉えています。しかし、ビジネスの現場、特に企業のブランドや売上を左右する重要なデザイン制作において、この3つの魅力は、時として危険な「罠」へと姿を変えるのです。

罠1:安物買いの銭失い?「コスト削減」という幻想の正体

ある食品メーカーのECサイト担当者、Aさんの話をしましょう。彼は新商品の発売にあたり、SNS広告用のバナーデザインをAIで内製することを決断しました。「月額数千円のAIツールを使えば、デザイナーに数万円払うより断然お得だ」と考えたのです。

確かに、AIはそれらしい画像をいくつか生成してくれました。

Aさんはその中から一番見栄えの良いものを選び、広告を出稿。しかし、結果は惨憺たるものでした。クリック率は過去最低を記録し、売上にも全く貢献しなかったのです。

なぜ、こんなことが起きたのでしょうか?

理由は明確です。AIが生成したデザインは、ターゲット顧客のインサイトを捉え、購買意欲を掻き立てる「マーケティング戦略」が欠落していたからです。

AIは「美味しそうな画像」は作れますが、「30代女性が仕事帰りに、自分へのご褒美として思わず買いたくなるような、共感を呼ぶ文脈」までは設計してくれません。

Aさんは結局、改めてプロのデザイナーに依頼し直し、追加の費用と時間を費やすことになりました。

当初削減したはずの数万円は、効果の出ない広告費と機会損失によって、あっという間に消し飛んでしまったのです。これは、AIデザインの罠の典型的な一例です。

罠2:「これでいいか」がブランドを蝕む。「クオリティの罠」

生成AIは、驚くほど「それっぽい」ものを生成します。

しかし、プロの目から見ると、その多くは「65点のデザイン」です。素人目には完璧に見えても、細部の作り込み、配色の妙、タイポグラフィの精度、そして何より「コンセプトの一貫性」において、プロの仕事とは歴然とした差があります。

例えば、以下のような問題が散見されます。

  • どこかで見たような、既視感のあるデザイン:オリジナリティに欠け、顧客の記憶に残らない
  • ブランドイメージとの乖離:AIにブランドの哲学や世界観を正確に理解させるのは至難の業
  • 細部の不自然さ:人間の指が6本ある、文字が不自然に歪んでいるなど、AI特有のミス
  • 全体としての統一感の欠如:Webサイト、パンフレット、名刺など、媒体ごとにデザインのトーンがバラバラになる

一つ一つは些細な問題に見えても、これらが積み重なることで、企業全体のブランドイメージは確実に毀損されていきます。「まあ、これでいいか」という安易な妥協の積み重ねが、顧客からの信頼を少しずつ削り取り、気づいた時には「安っぽい会社」「よくわからない会社」というレッテルを貼られてしまうのです。ブランドとは、細部に宿る神々の総体なのですから。

罠3:知らなかったでは済まされない。「権利と倫理」の地雷原

AIデザインを利用する上で、経営者が最も警戒すべきは、著作権や肖像権といった法的な問題です。

AIが学習データとして使用した画像に、著作権で保護されたものが含まれていた場合、生成されたデザインが意図せず著作権を侵害してしまうリスクが常に存在します。

「これはAIが作ったものだから」という言い訳は通用しません。万が一、権利者から訴えられた場合、その責任を負うのはAIではなく、それを使用して公開した企業自身です。多額の賠償金、ブランドイメージの失墜、事業継続の危機にまで発展しかねません。

また、実在の人物に酷似した画像を生成してしまったり、特定の文化や属性を不適切に表現してしまったりする倫理的な問題も無視できません。こうした問題は、SNSを通じて瞬く間に拡散し、「炎上」という形で企業の存続を脅かします。

これらの法務・倫理リスクを、専門知識のない担当者がすべて把握し、回避するのは極めて困難です。このリスク管理こそが、プロのデザイナーが提供する目に見えない価値の一つなのです。

第2章:発想の転換:「AIを使う人」を選ぶという新しい戦略

ここまでAIデザインの罠について解説してきましたが、誤解しないでいただきたいのは、筆者はAIの可能性を否定しているわけでは全くない、ということです。

むしろ、その逆です。AIは、正しく使えば、これまでのデザイン制作の常識を覆すほどの強力な武器となります。

重要なのは、その武器を誰が、どのように使うか、という視点です。

AIは万能の魔法の杖ではありません。それは、熟練した職人が手にしたとき、初めて真価を発揮する「究極の工具」なのです。

「AIに作らせる」から「AIと作る」へ:デザイナーの役割の変化

AI時代の到来によって、デザイナーの役割は大きく変化し、むしろその専門性はさらに高まっています。

これまでのデザイナーが、自らの経験と感性、そして技術を頼りにゼロからイチを生み出す「クラフトマン」だったとすれば、これからのデザイナーは、AIという超高性能なパートナーと共に、戦略的な価値を創造する「アートディレクター」や「戦略家」へと進化しています。

具体的に、「AIを使いこなすデザイナー」は、制作プロセスにおいてAIをどのように活用しているのでしょうか。

1. 戦略立案とリサーチの“超”効率化

優れたデザインは、優れた戦略の上に成り立ちます。ターゲットは誰か、競合の動向はどうか、市場のトレンドは何か。従来、こうしたリサーチには多大な時間と労力がかかっていました。

AIを使いこなすデザイナーは、AIを用いてこれらの情報を瞬時に収集・分析します。

  • 競合他社のWebサイトや広告デザインの傾向分析
  • ターゲット層がSNSでどのようなビジュアルに反応しているかのデータ収集
  • 最新デザイントレンドのパターン抽出

これにより、デザイナーはリサーチ作業から解放され、最も重要な「戦略を練る」という思考のプロセスに、より多くの時間を割くことができるようになります。

2. アイデア発想の“爆発的”な拡張

人間のクリエイティビティには、無意識のバイアスや過去の経験に基づく「思考の癖」がつきものです。それが時として、斬新なアイデアの妨げになることもあります。

ここでAIが強力なパートナーとなります。デザイナーが設定したコンセプトやキーワードに基づき、AIは人間では思いもよらないような、多種多様なビジュアルアイデアを何百、何千と生成します。

  • ロゴデザインの方向性を探るための、膨大な数のバリエーション生成
  • Webサイトのレイアウトパターンの網羅的な洗い出し
  • 広告キャンペーンのキービジュアルに関する、多様な切り口の提案

重要なのは、デザイナーはAIの生成物を鵜呑みにするのではなく、それらを「発想の壁打ち相手」として利用する点です。

膨大な選択肢の中から、戦略に合致し、かつ光る原石を見つけ出し、磨き上げていく。この「目利き」と「編集能力」こそが、プロの真骨頂です。

3. デザイン制作の“圧倒的”な高速化と深化

アイデアの方向性が固まった後の、具体的なデザイン制作プロセスにおいても、AIは絶大な効果を発揮します。

  • 写真素材の不要な部分を瞬時に切り抜き、背景を合成
  • 作成したデザインの配色パターンを、何十通りも瞬時にシミュレーション
  • 広告バナーなどのサイズ違いの展開を、一括で自動生成

こうした従来は非常に手間のかかっていた作業をAIに任せることで、デザイナーはよりクリエイティブな、本質的な作業に集中できます。

例えば、キャッチコピーの一言一句を吟味したり、ユーザーが最も心地よく感じるボタンの配置を0.1mm単位で調整したり、といった「神は細部に宿る」を体現する作業です。

AIによって生まれた時間は、デザインのクオリティをもう一段、二段と引き上げるための「深化」の時間となるのです。

経営者が本当に投資すべきは「問いを立てる力」

ここまで見てきたように、AIを使いこなすデザイナーは、単に絵を描く人ではありません。

彼らは、ビジネス課題を深く理解し、「どうすれば売上が上がるか」「どうすればブランド価値が高まるか」という問いを立て、その答えを導き出すためにAIというツールを戦略的に活用する、マーケティングパートナーなのです。

AIは「答え」を出すのではなく、優れた「問い」に応える存在です。

「どんなデザインが流行っていますか?」という凡庸な問いからは、凡庸な答えしか返ってきません。

しかし、「30代の働く女性が、週末にリラックスした気持ちで読みたくなるような、オーガニック製品の魅力を伝えるWebデザインのアイデアを、ミニマル、ナチュラル、フェミニンの3つの軸で100個提案して」というような、具体的で戦略的な「問い」を立てることができれば、AIは驚くべき価値を生み出します。

経営者がデザイナーに投資するということは、この「質の高い問いを立てる能力」に投資するということなのです。

それは、どんなに高性能なAIツールを導入しても、決して社内では代替できない、極めて高度な専門性と言えるでしょう。

第3章:「AIを使う人」に頼むと、会社はどう変わるのか?具体的なメリット5選

では、具体的に「AIを使いこなすデザイナー」とパートナーを組むことで、企業にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。

単なる「綺麗なデザインが手に入る」という次元を遥かに超えた、経営に直結する5つのメリットをご紹介します。

メリット1:意思決定のスピードと質が劇的に向上する

ビジネスの世界では、スピードが勝敗を分けます。特に市場の変化が激しい現代において、キャンペーンの企画から実行までのリードタイムは短ければ短いほど有利です。

AIを活用するデザイナーは、デザイン案の作成スピードが圧倒的に速いため、経営者やマーケティング担当者は、複数のデザイン案を早い段階で比較検討できます。

例えば、「A案とB案で、どちらがターゲットに響くか、簡易的なWebアンケートでテストしてみましょう」といった、データに基づいたスピーディーな意思決定が可能になります。

もはや「デザイナーの感性頼み」ではありません。複数の選択肢を客観的に評価し、成功確率の高いものを選ぶ。このサイクルを高速で回せること自体が、企業の競争力を飛躍的に高めます。

メリット2:費用対効果(ROI)が最大化される

第1章で触れたように、「AIで内製してコスト削減」という考えは、結果的に高くつくことがあります。

一方、「AIを使うプロ」への投資は、短期的にはコストがかかるように見えても、長期的には絶大なリターンを生み出します。

  • コンバージョン率の向上:戦略に基づいたデザインは、Webサイトの問い合わせ増や、ECサイトの購入率アップに直結
  • 広告効率の改善:クリック率の高い広告バナーは、同じ広告費でより多くの顧客を呼び込む
  • ブランド価値の向上:一貫性のある高品質なデザインは、顧客の信頼と愛着を育み、価格競争からの脱却を助ける

目先の制作費という「コスト」で判断するのではなく、そのデザインが生み出す未来の「リターン」で判断する。このROI(投資収益率)の視点を持つことが、経営者には不可欠です。

「AIを使う人」への投資は、最も賢明な経営判断の一つと言えるでしょう。

メリット3:属人性のリスクから解放される

「うちのデザインは、ベテランのBさんにしか頼めない」といった状況は、多くの中小企業が抱える悩みではないでしょうか。

特定の個人に依存した状態は、その人が退職したり、連絡が取れなくなったりした場合に、事業が停滞する大きなリスクを孕んでいます。

AIをプロセスに組み込んだデザイン制作は、この属人性の問題を大きく緩和します。AIを活用することで、デザインの意図やコンセプト、制作過程のデータが、言語化・可視化されやすくなるからです。

  • デザインコンセプトの言語化:AIへのプロンプト(指示文)自体が、デザインの設計図として機能
  • 制作プロセスの記録:どのような意図で、どのようなAIの機能を使ってそのデザインが生まれたかのログが残る
  • デザインシステムへの応用:AIを使って生成した配色やフォントのルールをシステム化し、誰が担当してもブランドの一貫性を保てるようにする

これにより、担当デザイナーが変わったとしても、ブランドの根幹を揺るがすことなく、スムーズな引き継ぎと安定したクオリティの維持が可能になります。

メリット4:データに基づいた「売れるクリエイティブ」が手に入る

マーケティングの世界では、A/Bテストが常識です。どちらのキャッチコピーが響くか、どちらのボタンの色がクリックされやすいか。こうしたテストを繰り返すことで、成果は着実に上がっていきます。

AIはこのA/Bテストを、デザインの領域で、かつてない規模と速度で実行可能にします。

例えば、新しいLP(ランディングページ)を制作する際、デザイナーはAIを使い、キービジュアルの人物を「笑顔の女性」「真剣な表情の男性」「家族の風景」など、複数のパターンで瞬時に生成します。

さらに、それぞれのビジュアルに対して、キャッチコピーやボタンの色を組み合わせた数十種類のデザインパターンを作成。

これらを実際に広告で配信し、最も成果の高かった組み合わせを「勝ちパターン」として採用するのです。

これは、もはやデザイナーの「勘」や「センス」の世界ではありません。データという客観的な事実に基づいて、最も売れるクリエイティブを科学的に作り上げていくプロセスです。

メリット5:企業の「未来」をデザインするパートナーが得られる

AIの進化は止まりません。メタバース、Web3、さらなるパーソナライゼーション技術など、次々と新しいテクノロジーが登場し、ビジネスのあり方を大きく変えていきます。

こうした未来の変化に、企業が単独で対応していくのは容易ではありません。

「AIを使いこなすデザイナー」は、常に最新のテクノロジーとデザインのトレンドを学び続けている専門家です。彼らは、単に目先のデザインを作るだけでなく、
「御社のビジネスモデルなら、次はこんなVRコンテンツで顧客体験を高めてみてはどうでしょう?」
「新しく登場したこのAI技術を使えば、顧客一人ひとりに最適化されたDMを自動生成できますよ」
といった、企業の未来の成長に繋がるような、戦略的な提案をしてくれるはずです。

彼らは単なる「外注先」ではなく、企業の未来を共に創造していく「戦略的パートナー」となり得るのです。

第4章:失敗しないパートナー選び:AI時代の「良いデザイナー」の見極め方

さて、ここまで「AIを使う人」の重要性とそのメリットを解説してきました。では、実際にどうすれば、そのような優秀なパートナーを見つけることができるのでしょうか。

ポートフォリオ(制作実績)が綺麗なだけでは、その本質を見抜くことはできません。

ここでは、経営者や担当者が、AI時代の「本当に頼れるデザイナー」を見極めるための、具体的な質問とチェックポイントをご紹介します。

チェックポイント1:ポートフォリオの「裏側」を読む

多くのデザイナーのポートフォリオには、完成した美しいデザインが並んでいます。しかし、本当に見るべきは、そのデザインが「どのようなプロセスを経て生み出されたのか」という裏側です。

  • 課題のヒアリング:クライアントのどんなビジネス課題を解決しようとしたのか
  • 戦略とコンセプト:その課題に対し、どのようなデザイン戦略とコンセプトを立てたのか
  • 制作プロセス:AIをどの段階で、どのように活用したのか、具体的な記述があるか
  • 結果と考察:そのデザインが、最終的にどのような成果(売上、CVRなど)に繋がったのか、そしてその結果に対するデザイナー自身の考察

もしポートフォリオにこうした「思考のプロセス」が見えない場合は、要注意です。ただ綺麗なものを作れるだけの「オペレーター」である可能性があります。

チェックポイント2:初回ヒアリングで投げかけるべき「魔法の質問」

実際に候補となるデザイナーや制作会社と話す機会があれば、ぜひ以下の質問を投げかけてみてください。その答え方によって、相手のスキルレベルやスタンスが驚くほど明確になります。

質問:「貴社(あなた)は、デザインプロセスにAIをどのように活用していますか?具体的な事例を交えて教えてください」

良い回答の例:

「はい、私達は主に2つの場面でAIを活用しています。1つは初期のアイデア出しです。

例えば、先日担当した健康食品のLPでは、ターゲットである50代男性に響くであろうコンセプトを『信頼感』『活力』『専門性』の3軸で設定し、AIに各軸で100個ずつのビジュアル案を出させ、そこから最適な方向性をクライアント様と議論しました。

もう1つは、バナー広告の量産です。決定したデザインを元に、AIを使って10種類以上のサイズ展開と、キャッチコピーの微調整を半日で完了させ、A/Bテストの効果を最大化しました。」

悪い回答の例:
「ええ、使っていますよ。AIで画像生成したりして、作業を効率化しています。」

違いは一目瞭然です。良い回答は、AIを「なぜ」「どのように」使って、「ビジネス課題の解決」に繋げているかが具体的です。悪い回答は、AIを使っているという事実だけで、そこに戦略性が感じられません。

質問:「AIを使って生成したデザインの、著作権の問題はどのようにクリアしていますか?」

良い回答の例:
「非常に重要なご質問ですね。私達は、学習データがクリーンであることが明言されている、商用利用可能な特定のAIツールのみを使用しています。

また、AIの生成物をそのまま使うことはせず、必ず私達の手で大幅な加工や修正を加え、オリジナリティを確保しています。

さらに、万が一に備え、AI生成物に関する賠償責任保険にも加入しており、クライアント様にご迷惑がかからない体制を整えています。」

悪い回答の例:
「まあ、大丈夫だと思いますよ。みんな使ってますし。」

リスクに対する意識の高さは、プロフェッショナルとして信頼できるかどうかの重要な指標です。

この質問に明確に答えられない相手は、避けるのが賢明です。

チェックポイント3:提案内容に「マーケティング視点」があるか

最終的に提出される提案書や見積書も、重要な判断材料です。

  • 課題の再定義:ヒアリングした内容が、彼らなりの言葉で、より本質的な課題として再定義されているか
  • KGI/KPIの設定:デザインのゴールとして「売上〇%アップ」「問い合わせ件数〇件」のような、具体的な数値目標が提案されているか
  • 納品後の動き:作りっぱなしではなく、「公開後の効果測定と改善提案」といった、その後の伴走プランが含まれているか

デザインを「納品物」としてではなく、ビジネスを成長させるための「手段」として捉えているかどうか。その視点が、提案内容の随所に現れるはずです。

あなたの会社は、AIに“使われる”のか、AIを“使いこなす”のか

本記事では、「AIにデザインを任せる」という一見魅力的な選択肢に潜む罠と、それを乗り越え、AIを真の競争力に変えるための「AIを使いこなす人を選ぶ」という新しい戦略について、多角的に解説してきました。

AIの進化は、私たちに選択を迫っています。

それは、AIの自動化の波に乗り、コスト削減と効率化だけを追い求める道か。それとも、AIを強力なパートナーとして迎え入れ、人間の創造性と戦略性を掛け合わせることで、かつてない価値を生み出す道か。

前者は、いずれAI自身や、AIを安価に使う競合との、終わりなき価格競争に行き着くでしょう。ブランドは摩耗し、顧客の心は離れていくかもしれません。

しかし後者は、あなたのビジネスを、他の誰にも真似できない、独自の価値を持つ存在へと昇華させる可能性を秘めています。

データと感性が融合し、スピードとクオリティが両立する。そんな未来のマーケティングを、他社に先駆けて実現できるのです。

今、経営者であるあなたに求められている決断は、どのAIツールを導入するか、ではありません。

真に選ぶべきは、最新のAIツールそのものではなく、そのツールを駆使して、あなたのビジネスを成功に導くことができる「人」、つまり戦略的パートナーなのです。

その選択が、数年後のあなたの会社の姿を大きく左右することになるでしょう。
この記事が、そのための賢明な一歩を踏み出す、一助となれば幸いです。


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