現代のビジネスシーンにおいて、デザインの重要性はますます高まっています。ウェブサイト、パンフレット、広告、商品パッケージなど、顧客とのあらゆる接点でデザインは企業の顔となり、ブランドイメージを形成し、時には購買意欲をも左右します。素晴らしいデザインは、ビジネスを加速させる強力な武器となり得ます。

しかし、その一方で、「デザイナー選びに失敗した」という声も後を絶ちません。

「見た目はおしゃれだけれど、全く成果に繋がらなかった」
「意図がうまく伝わらず、何度も修正を繰り返すことになった」
「そもそも、こちらのビジネスを理解してもらえなかった…」
こうした経験は、時間とコストを浪費するだけでなく、ビジネスチャンスの損失にも繋がってしまいます。

なぜ、このような失敗が起こるのでしょうか?その大きな要因の一つに、デザイナーを選ぶ際に「マーケティング視点」が欠けていることが挙げられます。

デザインは単なる「見た目の美しさ」を追求するだけのものではありません。本来、デザインとは「課題解決」や「目的達成」のための手段であるべきです。特に、ビジネスにおけるデザインは、マーケティング戦略と密接に連携し、ターゲット顧客に的確なメッセージを届け、具体的な行動(購入、問い合わせ、資料請求など)を促す役割を担っています。

本記事では、中小零細企業の経営者、マーケティング担当者、ウェブサイト運営責任者の皆様に向けて、デザインで失敗しないために、マーケティング視点からデザイナーを見る際に特に重要となる「3つの能力」について、プロの視点から詳しく解説していきます。最適なデザイナーを選び、デザイン投資を成功に導くための一助となれば幸いです。

なぜデザイナー選びにマーケティング視点が必要なのか?

「デザインなのだから、デザイナーの感性やセンスに任せれば良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、美的感覚や表現力はデザイナーにとって重要なスキルです。しかし、ビジネスにおけるデザインにおいては、それだけでは不十分なのです。

考えてみてください。企業の貴重なリソース(時間、費用、労力)を投じて制作するデザインは、何らかの「目的」を達成するために存在します。

それは、売上向上かもしれませんし、企業名、商品、サービスの認知度アップ、あるいはブランドイメージの構築かもしれません。

目的が何であれ、そのデザインは、最終的にターゲット顧客の心を動かし、行動を促すものでなければ意味がありません

ここに、マーケティング視点の重要性があります。マーケティングとは、顧客のニーズを理解し、価値を提供し、関係性を構築することで、企業の目標を達成するための一連の活動です。デザインは、このマーケティング活動における強力な「コミュニケーションツール」なのです。

例えば、新しいウェブサイトを立ち上げる場合を考えてみましょう。
単に「かっこいいサイト」「おしゃれなサイト」を作るだけでは、目的達成には繋がりません。

  • 誰(ターゲット顧客)に見てほしいのか?
  • その人たちに、何(企業の強み、商品の魅力)を伝えたいのか?
  • サイトを見た結果、どうなってほしいのか?(問い合わせ?購入?資料請求?)

これらの問いに対する答え、つまりマーケティング戦略が明確になっていてこそ、デザインはその真価を発揮します。

ターゲット顧客が魅力を感じるデザインテイストは何か、伝えるべき情報の優先順位はどうするか、最も効果的な行動喚起(CTA:Call to Action)の設計は何か…。

これら全てが、マーケティング視点に基づいたデザイン思考によって導き出されるのです。

デザインがマーケティング戦略から切り離されてしまうと、いくら見た目が優れていても、それは単なる自己満足の「作品」に過ぎず、ビジネスの成果には結びつきにくくなります。

せっかくのデザイン投資を無駄にしないためにも、デザイナーを選ぶ段階から、その人がマーケティング視点を持ち、戦略とデザインを連携させられるかどうかを見極めることが、決定的に重要なのです。

マーケ視点で見るべきデザイナーの「3つの能力」

では、具体的にどのような能力を持つデザイナーを選べば、マーケティング目標の達成に貢献してくれるのでしょうか?ここでは、特に重要となる「3つの能力」をご紹介します。それは、「理解力」「翻訳力」「検証・改善力」です。

1. 理解力:ビジネスとターゲットを深く理解する能力

一つ目の能力は「理解力」です。これは、依頼者であるあなたのビジネスや課題、そしてその先にいるターゲット顧客を深く理解する能力を指します。優れたデザイナーは、単に言われた通りのものを作るだけでなく、なぜそれが必要なのか、その背景にある本質的な目的は何かを理解しようと努めます。

具体的には、以下の要素が含まれます。

  • ヒアリング能力:表面的な要望を聞くだけでなく、質問を通じてビジネスモデル、現状の課題、達成したい目標、競合との差別化ポイントなどを深く掘り下げ、正確に把握する力です。「なぜこのデザインが必要なのか」「最終的にどうなりたいのか」といった本質的な問いかけができるデザイナーは、理解力が高いと言えるでしょう。
  • ターゲット理解:デザインの受け手となるターゲット顧客について、年齢や性別といった属性情報だけでなく、どのような価値観を持ち、どんなことに悩み、何を求めているのか(ニーズ、インサイト)、そしてどのような情報収集や購買行動をとるのか(行動パターン)を深く理解しようとする姿勢です。ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップといったマーケティングのフレームワークに対する理解があると、より的確なデザインが可能になります。
  • 共感力:依頼者であるあなたの立場、そしてターゲット顧客の立場、双方に寄り添い、共感を持って物事を捉える能力も重要です。「自分だったらどう感じるか」「この顧客層ならどう思うか」といった視点が、効果的なコミュニケーションデザインを生み出します。

この「理解力」が不足しているデザイナーに依頼してしまうと、どうなるでしょうか。

例えば、ある地方の老舗和菓子店の店主が、若い世代にもっとお店を知ってもらいたいと考え、ウェブサイトのリニューアルをデザイナーに依頼したとします。

店主は「とにかく今風のおしゃれなデザインにしてほしい」とだけ伝えました。デザイナーは、その言葉通り、最新トレンドを取り入れたスタイリッシュなデザイン案を作成しました。見た目は確かにおしゃれです。

しかし、そのデザインは、老舗ならではの歴史や伝統、こだわりの製法といった、本来伝えるべき魅力が全く表現されていませんでした。

ターゲットである若い世代が見ても、「よくあるおしゃれなサイト」という印象しか与えず、お店の独自性やストーリーは伝わりません。結果として、アクセス数は増えず、若い顧客層の獲得には繋がりませんでした。

これは、デザイナーが店主の表面的な要望だけを鵜呑みにし、「なぜ若い世代に知ってもらいたいのか」「お店の本当の強みは何か」「若い世代は何に価値を感じるのか」といった本質的な部分を深く理解しようとしなかったために起こった失敗例と言えます。

優れたデザイナーは、まず「誰に、何を伝え、どうなってほしいのか」というコミュニケーションの根幹を、依頼者と共に明確に定義することから始めます。この「理解力」こそが、成果に繋がるデザインを生み出すための第一歩なのです。

2. 翻訳力:マーケティング戦略をデザインに落とし込む能力

二つ目の重要な能力は「翻訳力」です。これは、ヒアリングを通じて理解したビジネスの課題や目標、ターゲット顧客のインサイト、そして根底にあるマーケティング戦略やブランドコンセプトを、具体的で魅力的なデザイン表現へと「翻訳」し、落とし込む能力を指します。

理解力がインプットの能力だとすれば、翻訳力はそれを形にするアウトプットの能力と言えるでしょう。具体的には、以下の要素が挙げられます。

  • コンセプトメイキング:複雑なマーケティング戦略やブランドの世界観を、一貫性のある、分かりやすく魅力的なデザインコンセプト(設計思想)へと昇華させる力です。優れたコンセプトは、デザイン全体の方向性を決定づける羅針盤となります。
  • 情報設計(IA:Information Architecture):伝えるべき多くの情報を整理し、優先順位をつけ、ユーザーが迷わず、ストレスなく目的の情報にたどり着けるように構造化するスキルです。特にウェブサイトや多ページのパンフレットなど、情報量が多い媒体において極めて重要になります。「どこに」「何を」「どのように」配置すれば最も効果的かを論理的に設計します。
  • ビジュアル表現:設定されたコンセプトや伝えるべきメッセージを、ターゲット顧客に最も響くであろうトーン&マナー(雰囲気や調子)、色彩計画、タイポグラフィ(文字のデザイン)、写真やイラストの選定、レイアウト(配置)といった視覚要素を駆使して具体的に表現する力です。単なるデザイナーの好みや感覚ではなく、戦略に基づいたロジカルな選択が求められます。
  • コピーライティングへの理解:デザインは視覚情報だけでなく、言葉(コピー)と一体となって初めて強いメッセージを発揮します。デザインとコピーが互いを引き立て合い、相乗効果を生み出すことを理解し、コピーライターや依頼者と連携しながら最適な表現を追求できる姿勢も重要です。

この「翻訳力」を持つデザイナーは、マーケティング戦略という「言語」を、デザインという「視覚言語」へと効果的に変換することができます。

先ほどの和菓子店の例で考えてみましょう。もし、デザイナーが優れた「翻訳力」を持っていたら、どうなっていたでしょうか。

まず、ヒアリングを通じて「老舗の伝統と革新性を若い世代に伝え、親しみを感じてもらいたい」という本質的な目標を理解します(理解力)。

次に、その目標を達成するためのデザインコンセプトを「温故知新モダン」といった言葉で定義します(コンセプトメイキング)。

そして、ウェブサイトの構成として、お店の歴史や職人のこだわりを伝えるコンテンツと、若い世代向けの新しい取り組みを紹介するコンテンツをバランス良く配置し、ターゲットが興味を持ちやすい導線を設計します(情報設計)。

ビジュアル表現においては、伝統を感じさせる和の要素(素材感のあるテクスチャ、落ち着いた色調、筆文字風のフォントなど)と、現代的なシンプルさや洗練された雰囲気を融合させ、ターゲットである若い世代が「古臭い」と感じることなく、「むしろ新しい」「かっこいい」と感じるようなデザインを構築します(ビジュアル表現)。

さらに、職人の想いを伝えるコピーと、商品の魅力を引き立てる写真を効果的に組み合わせます(コピーとの連携)。

このように、マーケティング戦略がデザインの細部にまで落とし込まれ、一貫したメッセージを発信することで、初めてターゲット顧客の心に響き、行動を促すデザインが実現するのです。見た目の美しさだけでなく、戦略的な意図が込められたデザインを生み出す「翻訳力」は、デザイナーに不可欠な能力と言えます。

3. 検証・改善力:データに基づきデザインを改善する能力

三つ目の能力は「検証・改善力」です。デザインは作って終わりではありません。特にウェブサイトやデジタル広告など、効果測定が比較的容易な媒体においては、リリース後の効果を測定し、その結果に基づいて改善を繰り返していくことが、成果を最大化するために極めて重要です。

この能力には、以下の要素が含まれます。

  • 効果測定への意識:デザインに着手する段階から、そのデザインによって何を達成したいのか(KPI:重要業績評価指標)を明確にし、その成果をどのように測定するかを意識しているか。例えば、ウェブサイトならコンバージョン率、滞在時間、直帰率などがKPIとなり得ます。測定可能なデザインを提案できるデザイナーは、成果に対する意識が高いと言えます。
  • データ分析:Google Analyticsなどのアクセス解析ツールや、A/Bテスト(複数のデザイン案を比較検証する手法)の結果から得られる客観的なデータを読み解き、デザイン上の課題点や改善点を見つけ出す能力です。「なんとなく」や「自分の好み」といった主観ではなく、データに基づいた論理的な判断ができることが重要です。
  • PDCAサイクル:Plan(計画:デザイン制作)→ Do(実行:リリース)→ Check(評価:効果測定・データ分析)→ Act(改善:デザイン修正)という改善サイクルを回す意識を持っているか。一度作って終わりではなく、継続的にデザインを最適化していく姿勢が求められます。
  • 柔軟性:効果測定の結果やユーザーからのフィードバックに基づき、当初のデザイン案や自分の考えに固執せず、より良い成果のためにデザインを修正・変更できる柔軟性も大切です。時には、大幅な方向転換が必要になることもあります。

この「検証・改善力」が欠けていると、せっかく作ったデザインが効果を発揮しないまま放置されてしまう可能性があります。

例えば、ある企業が多額の費用をかけてECサイトをリニューアルしたとします。デザインは非常に洗練されており、社内での評判も上々でした。

しかし、リニューアル後、売上は思うように伸びません。アクセス解析データを見ると、多くのユーザーが商品詳細ページには到達するものの、購入に至る手前のカート投入ページで離脱していることが分かりました。

原因は、カート投入ボタンのデザインが分かりにくかったり、入力フォームが複雑すぎたりすることにあるのかもしれません。

ここで「検証・改善力」のあるデザイナーであれば、データに基づき課題を特定し、
「カートボタンの色や文言を変えてみましょう」
「入力フォームのステップを簡略化しましょう」
といった具体的な改善提案を行い、A/Bテストなどを実施して効果を検証します。

しかし、もしデザイナーにその意識やスキルがなければ、「デザインは納品したので、あとは運用側の問題です」となってしまい、サイトは改善されないまま、機会損失が続いてしまうかもしれません。

ビジネスは常に変化し、顧客のニーズも移り変わります。デザインもまた、一度作ったら完成ではなく、市場や顧客の変化に合わせて進化させていく必要があります。

「作って終わり」ではなく、成果が出るまで伴走し、データに基づいてデザインを最適化し続けてくれる「検証・改善力」を持ったデザイナーは、長期的な視点でビジネスの成長に貢献してくれる、頼もしいパートナーとなるでしょう。

3つの能力を持つデザイナーの見極め方

では、実際にデザイナーを選ぶ際に、これらの「理解力」「翻訳力」「検証・改善力」をどのように見極めれば良いのでしょうか。いくつか具体的なチェックポイントをご紹介します。

ポートフォリオのチェックポイント

デザイナーのスキルや実績を確認する上で、ポートフォリオ(作品集)は重要な判断材料です。しかし、単に見た目の美しさやデザインのテイストだけで判断してはいけません。マーケティング視点でチェックすべきポイントがあります。

  • 成果への言及:そのデザインが、どのようなクライアントの課題を解決するために作られ、結果としてどのような成果(売上向上、問い合わせ数増加、認知度向上など)に繋がったのか、具体的な説明があるか確認しましょう。「ただ作りました」だけでなく、背景や成果に触れているデザイナーは、ビジネスへの貢献を意識している可能性が高いです。
  • 制作プロセスの可視化:最終的なアウトプットだけでなく、どのようなヒアリングを行い、何を課題と捉え、どのような思考プロセスを経てそのデザインに至ったのか、プロセスに関する説明があると、デザイナーの「理解力」や「翻訳力」を垣間見ることができます。
  • 実績の多様性:特定のデザインテイストや特定の業種だけでなく、様々なクライアントの課題解決に取り組んだ実績があるか。多様な課題に対応できるデザイナーは、引き出しが多く、柔軟な発想を持っている可能性があります。
  • マーケティング要素の有無:デザインの説明の中に、ターゲット設定、コンセプト、KPI、効果測定といったマーケティングに関連するキーワードが含まれているかどうかもチェックポイントです。これらの言及があれば、マーケティング視点を持っている証拠と言えるでしょう。

ヒアリング・打ち合わせでの質問

ポートフォリオだけでは分からない部分は、直接のコミュニケーションで見極めていく必要があります。最初の打ち合わせやヒアリングの場で、以下のような質問を投げかけてみるのが有効です。

  • 過去の成功事例とその要因:「これまで手がけられたデザインの中で、特にマーケティング的に成功したと感じる事例はありますか?もしあれば、その成功の要因は何だったとお考えか、教えていただけますでしょうか?」この質問で、デザイナーが成果をどのように捉え、分析しているかが分かります。
  • 課題解決へのアプローチ:自社の具体的なビジネス課題(例:「新規顧客獲得に繋がるウェブサイトを作りたい」「既存顧客のリピート率を高めるパンフレットが必要だ」など)を提示し、「この課題に対して、どのようなデザインアプローチが考えられますか?」と問いかけてみましょう。課題への理解度や、解決策を提案する思考力が見えてきます。
  • ターゲット理解の深掘り:「弊社のターゲット顧客(具体的なペルソナ像を提示できると尚良い)について、デザインを進める上でどのような点を特に重要視されますか?」ターゲットへの向き合い方や、インサイトをどう捉えようとするかを確認します。
  • 情報整理・設計の工夫:「もし、伝えるべき情報が多い場合、それを分かりやすく整理し、ユーザーに効果的に伝えるために、どのような工夫をされますか?」情報設計(IA)に対する考え方やスキルを探ります。
  • 効果測定・改善へのスタンス:「制作していただいたデザインの効果測定や、その後の改善については、どのようにお考えですか?」検証・改善に対する意識や、具体的な手法についての考え方を確認します。

これらの質問に対する回答の内容はもちろん、回答の仕方、質問への理解度、コミュニケーションの姿勢なども重要な判断材料となります。

コミュニケーション

デザイナーとの仕事は、一度きりの発注で終わることは少なく、多くの場合、継続的なコミュニケーションが必要になります。スムーズで建設的なやり取りができるかどうかも、重要な見極めポイントです。

  • 分かりやすい言葉での説明:デザインに関する専門用語を多用せず、こちらの知識レベルに合わせて、分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるか。専門家としての知識をひけらかすのではなく、相手に理解してもらおうという姿勢があるかは重要です。
  • 傾聴力と質問力:こちらの話を注意深く聞き、意図を正確に汲み取ってくれるか。そして、的確な質問を投げかけることで、こちらの考えを引き出し、より深い理解に繋げようとしてくれるか。
  • パートナーとしての対話:単に指示された作業をこなす「作業者」ではなく、共に課題解決を目指す「ビジネスパートナー」として、対等な立場で意見交換ができるか。時には、こちらの要望に対して、専門的な視点から別の提案をしてくれるような関係性が理想的です。

デザインの好みやフィーリングといった「相性」も、もちろん大切です。しかし、ビジネスの成果を追求するのであれば、それ以上に「理解力」「翻訳力」「検証・改善力」という3つの能力をしっかりと見極めることが、デザイナー選びで失敗しないための鍵となります。

デザイナーとのより良い関係を築くために

最適なデザイナーを見つけることができたら、次はその能力を最大限に引き出し、共に良い成果を生み出すための関係性を築いていくことが重要になります。デザインはデザイナーに「丸投げ」すれば良いというものではありません。依頼者側の協力や意識も、プロジェクトの成否を大きく左右します。

依頼者側もマーケティング視点を持つ

デザイナーにマーケティング視点を求めるのであれば、当然、依頼者側もある程度のマーケティング知識や視点を持っていることが望ましいです。自社のビジネス目標、ターゲット顧客、提供価値、競合との差別化ポイントなどを明確に理解し、デザイナーと共有することで、より的確で効果的なデザインが生まれやすくなります。

明確な目的・目標・ターゲット情報の共有

「何のために、誰に、何を伝え、どうなってほしいのか」これを可能な限り具体的にデザイナーに伝えることが、プロジェクトの成功の第一歩です。曖昧な指示は、曖昧なアウトプットしか生みません。事前に社内で目的やターゲットを明確にしておくことが重要です。市場調査のデータや顧客アンケートの結果など、客観的な情報があれば、それらも積極的に共有しましょう。

適切な情報提供とフィードバック

デザイン制作に必要な資料(ロゴデータ、写真素材、文章原稿など)は、できるだけ早く、整理された形で提供しましょう。

また、デザイン案に対するフィードバックは、単なる好き嫌いではなく、設定した目的やターゲットの視点に立って、具体的かつ建設的に伝えることを心がけましょう。

「なんとなく違う」ではなく、
「ターゲット層には、この色使いは少し子供っぽく見えるかもしれません」
「このボタンは、もう少し目立たせた方がクリック率が上がるのではないでしょうか」
といった具体的な理由を添えることで、デザイナーは改善の方向性を見つけやすくなります。

共に創り上げていくパートナーとしての意識

デザイナーは魔法使いではありません。依頼者とデザイナーが、それぞれの専門性を持ち寄り、対話を重ね、協力し合うことで、初めて素晴らしいデザインが生まれます。

デザイナーを単なる「外注先」や「作業者」として扱うのではなく、共に目標達成を目指す「パートナー」として尊重する姿勢が大切です。疑問点は率直に質問し、意見が異なる場合は、感情的にならずに目的達成の観点から建設的な議論を心がけましょう。

このように、依頼者とデザイナーが互いを尊重し、良好なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが、プロジェクトを成功に導き、最終的にビジネスの成果へと繋がるのです。

まとめ

これからの時代のデザイナー選びは、単に「おしゃれなデザインが作れるか」「センスが良いか」といった見た目のスキルだけで判断するべきではありません。ビジネスの成果に貢献するデザインを生み出すためには、マーケティング戦略とデザインを結びつける視点が不可欠です。

本記事では、マーケティング視点でデザイナーを見る際に特に重要となる3つの能力、「理解力」「翻訳力」「検証・改善力」について解説しました。

  • 理解力:あなたのビジネスとターゲット顧客を深く理解する能力
  • 翻訳力:マーケティング戦略を魅力的なデザインに落とし込む能力
  • 検証・改善力:データに基づきデザインを改善し、成果を追求する能力

これらの能力を持つデザイナーは、単なる制作者ではなく、企業のマーケティング目標達成を力強くサポートしてくれる、頼れるビジネスパートナーとなり得ます。ポートフォリオのチェック、打ち合わせでの質問、日々のコミュニケーションを通じて、これらの能力をしっかりと見極めることが重要です。

そして、優れたデザイナーを見つけたら、依頼者側もマーケティング視点を持ち、明確な情報共有と建設的なフィードバックを心がけ、共に創り上げていくパートナーとして良好な関係を築いていくことが、デザイン投資を成功させるための鍵となります。

この記事が、日々ビジネスの成長のために奮闘されている中小零細企業の経営者、マーケティング担当者、ウェブサイト運営責任者の皆様にとって、最適なデザイナー選びの一助となり、より効果的なデザイン活用に繋がることを心より願っております。


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