スタートアップにとって、事業を成長軌道に乗せるための資金調達は、避けては通れない重要なマイルストーンです。その成否を大きく左右するのが、投資家に対するプレゼンテーション、すなわち「ピッチ」であり、その中核をなすのが「ピッチ資料」です。多くの起業家が、自社の技術やサービスの優位性を伝えようと、スペックや機能の詳細を詰め込みがちですが、果たしてそれだけで投資家の心を掴むことができるでしょうか。

答えは、残念ながら「ノー」です。もちろん、事業計画の妥当性や市場の潜在性を示すデータは不可欠です。しかし、投資家が最終的に心を動かされるのは、論理的な正しさだけではありません。彼らが投資を決断する背景には、事業の将来性に対する「共感」や「期待感」、そして何よりも、その事業を率いる起業家やチームに対する「信頼」があります。

では、どうすれば投資家の心を動かし、共感と信頼を勝ち取ることができるのでしょうか。その鍵を握るのが、「ストーリー」です。自社の事業が、どのような課題を解決し、どのような未来を創り出そうとしているのか。その情熱的な物語を、魅力的かつ効果的に伝えること。これこそが、投資家を惹きつけるピッチ資料の本質なのです。

本記事では、単なる情報の羅列に終わらない、投資家の心を掴む「ストーリーで魅せるピッチ資料デザイン」の秘訣を、構成要素からデザインの原則、さらにはよくある失敗例まで、具体的に解説していきます。資金調達を目指すすべてのスタートアップ経営者、そして事業の魅力を効果的に伝えたいと考えるマーケティング担当者の方々にとって、必読の内容です。

なぜストーリーが投資家の心を動かすのか?

人はなぜ物語に惹かれるのでしょうか。それは、太古の昔から、ストーリーが知識や経験、価値観を共有するための最も効果的な手段だったからです。神話や伝説、おとぎ話に至るまで、私たちはストーリーを通じて世界を理解し、他者に共感し、感動を覚えてきました。この人間の本能的な性質は、ビジネスの世界、特に投資判断の場面においても例外ではありません。

感情への訴求力:共感と記憶

ピッチ資料に盛り込まれる事業計画や市場データは、多くの場合、複雑で難解です。数字や専門用語の羅列だけでは、投資家は情報を処理しきれず、退屈してしまうかもしれません。しかし、そこにストーリーが加わることで、状況は一変します。

例えば、「市場規模はXX億円で、年平均成長率はYY%です」と伝えるだけでなく、「私たちは、多くの人々が抱える〇〇という深い悩みを解決したいのです。その悩みを抱える人はこれだけいて、彼らが解放された時、これだけのインパクトが生まれます」と語りかけることで、投資家は単なる数字の向こう側にある「人の想い」や「社会的な意義」を感じ取ることができます。

ストーリーは、聞き手の感情に直接訴えかけ、共感を生み出します。 そして、感情が動かされた体験は、単なる情報よりもはるかに強く記憶に残ります。多くのピッチを聞く投資家にとって、「記憶に残る」ことは、検討のテーブルに乗るための第一関門と言えるでしょう。

複雑な情報の構造化:理解の促進

スタートアップが取り組む事業は、革新的であるがゆえに、既存の枠組みでは説明しきれない複雑さを持つことが少なくありません。新しい技術、独自のビジネスモデル、未開拓の市場…。これらの要素を分かりやすく伝える上で、ストーリーは強力な武器となります。

ストーリーには、通常、「課題」「解決策」「登場人物」「目指す未来」といった要素が含まれます。これらの要素を軸に情報を整理し、起承転結を意識した流れで語ることで、複雑な情報も自然と頭に入りやすくなります。 投資家は、ストーリーを通じて事業の全体像を直感的に理解し、その可能性をスムーズに評価できるようになるのです。

「人」への投資:ビジョンへの共感

経験豊富な投資家ほど、「事業計画」だけでなく「人」を見ると言われます。 どんなに優れたアイデアや技術も、それを実現する実行力がなければ絵に描いた餅に過ぎません。投資家は、起業家やチームが持つ情熱、ビジョンへのコミットメント、困難を乗り越える力を見極めようとしています。

ストーリーは、まさにその「人」の部分を伝える絶好の機会です。なぜこの事業を始めようと思ったのか、どんな困難を乗り越えてきたのか、どのような未来を実現したいのか。自らの言葉で、熱意を込めて語られるストーリーは、起業家自身の人間性や価値観を伝え、投資家との間に信頼関係を築くきっかけとなります。 投資家は、そのストーリーに共感し、「この人たちと一緒に未来を創りたい」と感じた時に、大きな投資を決断するのです。

投資家を惹きつけるストーリーの構成要素

では、具体的にどのような要素を盛り込むことで、投資家の心を動かすストーリーを構築できるのでしょうか。優れたピッチ資料のストーリーは、いくつかの重要な構成要素から成り立っています。ここでは、その核となる7つの要素について解説します。

1. 明確な「課題」の提示

すべてのビジネスは、何らかの「課題」を解決するために存在します。ストーリーの冒頭では、「誰の、どんな深い悩みを解決しようとしているのか」を明確に示す必要があります。

  • ターゲット顧客が直面している具体的なペインポイント(痛み・不満・悩み)の描写
  • その課題がなぜ重要で、解決する必要があるのかの説明
  • 課題の深刻さや、影響を受ける人の数、市場規模を示す客観的なデータ
  • 投資家自身が「確かにそれは問題だ」「解決されれば大きな価値がある」と共感できるような提示

課題設定が曖昧だったり、共感を呼ばなかったりすると、その後の解決策やビジネスモデルの説得力が大きく損なわれてしまいます。

2. 魅力的な「解決策(ソリューション)」

提示した課題に対して、自社のプロダクトやサービスがどのように答えるのか。それが「解決策」です。ここでは、自社のソリューションがいかにユニークで、効果的であるかを分かりやすく伝える必要があります。

  • プロダクトやサービスの具体的な機能や仕組みの説明
  • 既存の代替手段と比較した場合の優位性や独自性
  • デモンストレーションや具体的な事例による効果の提示
  • なぜ「今」、このタイミングでこの解決策が求められているのか:市場のトレンドや技術の進化との関連性
  • 専門的すぎず、投資家が直感的に「なるほど、それは良い!」と感じられるような説明

3. 実現可能な「ビジネスモデル」

どんなに素晴らしい解決策でも、収益を生み出し、事業として継続できなければ意味がありません。「ビジネスモデル」のパートでは、どのようにして収益を上げ、持続的な成長を実現するのかを具体的に示します。

  • 収益源は何か:販売、サブスクリプション、広告、手数料など
  • 価格設定の根拠
  • 顧客獲得戦略とコスト(CAC)
  • 顧客生涯価値(LTV)の見込み
  • 具体的な収益化の仕組みと、将来的なスケールアップの可能性
  • 市場の変化に対応できる柔軟性と、競合に対する持続的な優位性

投資家は、ここでの説明を通じて、投資資金が将来的にどれだけのリターンを生む可能性があるのかを判断します。

4. 強力な「チーム」の紹介

前述の通り、投資家は「人」を重視します。このパートでは、なぜ「このチーム」なら、提示した課題解決とビジネスモデルを実現できるのかをアピールします。

  • 創業者や主要メンバーの経歴、専門性、実績
  • それぞれの役割分担と、チームとしての相乗効果
  • 事業に対する情熱やコミットメント
  • アドバイザーや協力者など、外部の支援体制(もしあれば)
  • チームの結束力と、共通のビジョンに向かって進む力強さ
  • 過去の成功体験や、困難を乗り越えた経験談(説得力があれば)

単なる経歴の羅列ではなく、チームの「物語」を語ることが重要です。

5. 明確な「市場とターゲット」

自社のビジネスが、どの「市場」で、誰を「ターゲット」としているのかを明確に定義します。

  • 対象とする市場の全体像と規模(TAM、SAM、SOM)
  • 市場の成長性や将来性を示すデータ
  • 主要なターゲット顧客層の具体的な人物像(ペルソナ)
  • なぜその市場、そのターゲット顧客を選んだのか:明確な理由と勝算
  • 競合他社の分析と、自社のポジショニング
  • 市場への参入障壁と、それを乗り越える戦略

市場の魅力と、そこで勝ち抜くための戦略を示すことで、投資家の期待感を高めます。

6. 説得力のある「トラクション(実績)」

アイデアや計画だけでなく、「すでにこれだけの成果が出ている」という実績を示すことは、投資家に対する強力な説得材料となります。「トラクション」とは、事業が前進していることを示す証拠です。

  • これまでのユーザー数、顧客数、売上などの主要なKPI(重要業績評価指標)の推移
  • 顧客からのポジティブなフィードバックや testimonial(推薦の声)
  • メディア掲載実績や受賞歴
  • プロトタイプの開発状況や、β版テストの結果
  • たとえ小さな成功であっても、着実に事業が進捗していることを示すデータの重要性
  • 今後のマイルストーン達成に向けた具体的な計画との連動性

初期段階のスタートアップであっても、何らかの形でトラクションを示す努力が求められます。

7. 具体的な「資金使途と将来計画」

ピッチの最終目的は資金調達です。このパートでは、今回調達したい資金額と、その資金を何に使うのか、そしてその結果としてどのような成長を目指すのかを具体的に説明します。

  • 希望調達資金額とその算出根拠
  • 調達資金の具体的な配分計画:人材採用、開発、マーケティング、設備投資など
  • 資金投入後の短期・中期・長期の事業計画(ロードマップ)
  • 達成目標とする具体的なKPI
  • 投資家が期待するリターン(Exit戦略の見通しを含む)に繋がる道筋
  • 財務計画(売上予測、費用予測、キャッシュフロー予測など)の概要

「これだけ投資してくれれば、これだけの成長を実現できる」という明確なメッセージを伝えることが重要です。

これらの7つの要素を、論理的かつ感情に訴えかけるストーリーとして紡ぎ上げることが、投資家を惹きつけるピッチ資料の鍵となります。

ストーリーを効果的に伝えるピッチ資料デザインの原則

魅力的なストーリーを構築できたら、次はそのストーリーを最大限に引き立てる「デザイン」について考えましょう。どんなに素晴らしい物語も、伝え方が悪ければその価値は半減してしまいます。ピッチ資料のデザインは、単なる装飾ではなく、ストーリーを効果的に伝え、投資家の理解と共感を深めるための重要な戦略です。ここでは、優れたピッチ資料デザインに共通する5つの原則を紹介します。

1. 「Less is More」:シンプルさの追求

ピッチ資料で最も陥りやすい罠の一つが、情報を詰め込みすぎることです。伝えたいことが多いあまり、スライド一枚一枚に文字や図表をぎっしりと詰め込んでしまうと、かえって要点がぼやけ、投資家はどこを見れば良いのか分からなくなってしまいます。

  • 各スライドで伝えたいメッセージは一つに絞る(1スライド1メッセージ)
  • 文章はできるだけ短く、箇条書きやキーワードを活用
  • 意図的に「余白」を作ることで、重要な要素を目立たせる
  • 複雑な情報は、口頭での説明に委ねる勇気を持つ
  • 洗練されたシンプルさは、自信の表れでもある

「より少なく、しかしより良く」を心がけ、本当に伝えたい核心部分に焦点を当てましょう。

2. 視覚的な魅力:ビジュアル要素の活用

人間は視覚的な情報に強く反応します。文字ばかりの資料よりも、画像やイラスト、グラフなどが効果的に使われている資料の方が、はるかに理解しやすく、記憶にも残りやすくなります。

  • 自社のブランドイメージやストーリーに合った、高品質な画像やイラストを選定
  • 複雑なデータや数値は、インフォグラフィックやグラフ、図解を用いて視覚的に表現
  • プロダクトやサービスのイメージを伝えるスクリーンショットやモックアップ
  • 視覚要素は、メッセージを補強し、感情的なインパクトを与えるために戦略的に使用
  • ただし、多用しすぎると逆効果になるため、バランス感覚が重要

視覚的な要素を効果的に取り入れることで、資料全体の魅力と説得力を格段に向上させることができます。

3. 読みやすさへの配慮:フォントと配色

デザインの基本でありながら、意外と見落とされがちなのが、フォント(書体)と配色です。読みづらいフォントや、チカチカするような配色は、投資家の集中力を削ぎ、資料の内容以前にストレスを与えてしまいます。

  • ゴシック体など、スクリーン上でも読みやすい、シンプルなフォントを選択
  • 本文の文字サイズは、プレゼンテーション会場の後方からでも読める程度の大きさを確保(最低でも18pt以上を推奨)
  • 行間や文字間隔にも配慮し、窮屈な印象を与えないように調整
  • ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーを決め、色の数を絞る
  • 背景色と文字色のコントラストを十分に確保
  • アクセントカラーは、特に強調したい部分に限定的に使用

読みやすさは、内容を正確に伝えるための大前提です。細部にまで配慮することで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。

4. ストーリーの流れを意識した構成

ピッチ資料は、個々のスライドの集合体であると同時に、全体として一つのストーリーを語るものでなければなりません。スライドの構成や順番が、ストーリーの流れをスムーズに導くように設計されていることが重要です。

  • 冒頭で課題を提示し、解決策、ビジネスモデル、チーム…と、 logique な流れを作る(起承転結)
  • 各セクションの冒頭にタイトルスライドを設け、話の区切りを明確にする
  • スライド番号や、全体のどの部分を話しているかを示すプログレスバーなどを表示
  • 話の展開が唐突にならないよう、スライド間の繋がりを意識
  • 結論や要点をまとめるサマリースライドを用意

投資家が迷子になることなく、自然にストーリーに引き込まれていくような構成を心がけましょう。

5. 一貫性のあるブランディング

ピッチ資料は、自社の「顔」となる重要なコミュニケーションツールです。資料全体を通じて、自社のブランドイメージが一貫して表現されていることが求められます。

  • 企業のロゴを適切な位置に配置
  • ウェブサイトや他のマーケティング資料と共通のカラースキーム、フォントを使用
  • デザインのトーン&マナー(雰囲気やスタイル)を統一
  • 資料全体で、自社の企業文化やビジョン、世界観が伝わるように意識
  • テンプレートを活用しつつも、オリジナリティのあるデザインを目指す

一貫性のあるブランディングは、信頼性とプロフェッショナリズムを高め、投資家にポジティブな印象を与えます。

これらのデザイン原則を意識し、ストーリーテリングとデザインを融合させることで、投資家の記憶に残り、心を動かすピッチ資料を作成することができるでしょう。

よくあるピッチ資料の失敗例とその回避策

どんなに素晴らしいビジネスアイデアを持っていても、ピッチ資料の出来が悪ければ、投資家に見向きもされない可能性があります。ここでは、多くのスタートアップが陥りがちな、よくあるピッチ資料の失敗例とその回避策について解説します。自社の資料がこれらの轍を踏まないよう、チェックリストとしても活用してください。

失敗例1:情報過多で理解不能

  • 原因:伝えたいことが多すぎる:あれもこれもと情報を詰め込み、スライドが文字や図で埋め尽くされている
  • 問題点:要点が不明確:投資家は何を理解すれば良いのか分からず、集中力が途切れる
  • 回避策:1スライド1メッセージの徹底:シンプルさを追求し、詳細は口頭で補足:不要な情報は削ぎ落とす勇気

失敗例2:専門用語が多く、伝わらない

  • 原因:業界内の常識にとらわれている:自分たちにとっては当たり前の専門用語や略語を多用してしまう
  • 問題点:投資家が理解できない:特に異業種の投資家には、内容が全く伝わらない可能性がある
  • 回避策:誰にでも分かる平易な言葉で説明する:専門用語を使う場合は、必ず注釈や簡単な説明を加える:業界外の人にレビューしてもらう

失敗例3:デザイン性が低く、読む気が失せる

  • 原因:デザインへの意識不足:テンプレートをそのまま使ったり、素人感のあるデザインになってしまっている
  • 問題点:プロ意識の欠如と見なされる:第一印象が悪く、内容を見る前に興味を失われる可能性がある
  • 回避策:デザインの原則(シンプルさ、ビジュアル、読みやすさ、一貫性)を意識する:必要であればプロのデザイナーに依頼する:参考になる優れたピッチ資料を研究する

失敗例4:ストーリーがなく、印象に残らない

  • 原因:事実やデータの羅列に終始:課題、解決策、ビジネスモデルなどがバラバラに提示され、繋がりが見えない
  • 問題点:共感を呼ばない:記憶に残らず、他の多くのピッチの中に埋もれてしまう
  • 回避策:明確なストーリーラインを構築する:課題への共感から始め、自社のビジョンまで、一貫した物語として語る:感情に訴えかける要素を盛り込む

失敗例5:ターゲット(投資家)視点の欠如

  • 原因:自分たちが伝えたいことだけを話している:投資家が何を知りたいのか、何を懸念しているのかを考慮していない
  • 問題点:投資家の疑問や不安に応えられない:投資判断に必要な情報が欠けていたり、的外れなアピールになったりする
  • 回避策:投資家の立場になって考える:彼らが重視するであろうポイント(市場性、収益性、チーム、Exit戦略など)を網羅する:想定される質問を予測し、資料や説明に盛り込む

これらの失敗を回避するためには、資料作成後に必ず客観的な視点で見直すことが重要です。可能であれば、信頼できる第三者(メンター、アドバイザー、他の起業家など)にレビューを依頼し、率直なフィードバックをもらいましょう。 また、完成した資料を使って、実際に声に出してプレゼンテーションの練習を繰り返し行うことも、改善点を発見する上で非常に有効です。

デザイン制作を外部に依頼する際のポイント

ピッチ資料のデザインは、専門的な知識やスキルが求められる領域です。自社内にリソースがない場合や、よりクオリティの高い資料を目指すのであれば、外部のデザイナーや制作会社に依頼することも有効な選択肢となります。しかし、依頼先を間違えると、期待した効果が得られないばかりか、時間とコストを無駄にしてしまう可能性もあります。ここでは、外部にデザイン制作を依頼する際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。

1. 実績やポートフォリオの確認

  • 過去にどのようなピッチ資料やプレゼンテーション資料のデザインを手がけたことがあるか
  • 特にスタートアップ向けの資料制作実績が豊富か
  • デザインのテイストやクオリティが、自社の求めるイメージと合っているか
  • ポートフォリオだけでなく、可能であれば具体的な制作事例やクライアントの声なども確認

デザインのスキルだけでなく、ピッチ資料特有の要件を理解しているかどうかが重要です。

2. コミュニケーションの円滑さ

  • 担当者との相性や、コミュニケーションの取りやすさ
  • こちらの要望や意図を正確に汲み取り、的確な提案をしてくれるか
  • レスポンスの速さや、丁寧な対応
  • 制作プロセスやスケジュール、修正対応などについて、明確な説明があるか

デザイン制作は、依頼者と制作者の共同作業です。円滑なコミュニケーションは、プロジェクト成功の鍵となります。

3. ビジネスへの理解度

  • 単に見た目を整えるだけでなく、自社の事業内容、ビジョン、ターゲット市場などを深く理解しようとしてくれるか
  • ストーリーテリングの重要性を理解し、デザインを通じてそれを表現するスキルがあるか
  • マーケティング的な視点を持ち合わせているか
  • 必要であれば、資料の構成やメッセージングについてもアドバイスをくれるか

ビジネスの本質を理解してくれるパートナーを選ぶことが、成果に繋がるデザインを生み出す上で不可欠です。

4. ストーリーテリングの重要性を理解しているか

  • デザインが、構築したストーリーラインを補強し、引き立てるものになっているか
  • 情報の優先順位付けや、視線の誘導など、ストーリーを効果的に伝えるためのデザインテクニックを理解しているか
  • データや情報を分かりやすく可視化する能力

見た目の美しさだけでなく、「伝わる」デザインを重視する姿勢があるかを確認しましょう。

5. 費用対効果の検討

  • 見積もり金額が、提供されるサービス内容やクオリティに見合っているか
  • 複数の候補から相見積もりを取り、比較検討する
  • 単に価格の安さだけで選ばず、総合的な費用対効果を判断する
  • 予算内で最大限の成果を引き出すための提案力があるか

安かろう悪かろうでは意味がありません。投資する価値のあるパートナーを見極めることが大切です。

外部への依頼は、専門家の力を借りて資料の質を飛躍的に高めるチャンスです。上記のポイントを参考に、自社にとって最適なパートナーを見つけてください。

ピッチ本番に向けて:資料デザインを超えた準備

完璧なピッチ資料が完成したとしても、それだけで資金調達が成功するわけではありません。資料はあくまで、あなたのストーリーを伝えるための「補助ツール」です。ピッチ本番で投資家の心を真に動かすのは、資料の美しさ以上に、あなたの口から語られる言葉の力、そして情熱です。ここでは、資料デザインの先にある、ピッチ本番に向けた重要な準備について触れておきます。

資料は「読む」のではなく「語る」ためのもの

  • スライドに書かれた文字をそのまま読み上げるのは絶対に避ける
  • 資料は、話の流れをサポートする視覚的な補助として活用
  • 自分の言葉で、熱意を込めてストーリーを語る
  • アイコンタクトを意識し、投資家一人ひとりに語りかけるように話す

プレゼンテーションの主役は、資料ではなく、あなた自身です。

想定される質問への準備

  • ピッチの後には、必ず質疑応答の時間があります
  • 投資家が疑問に思いそうな点、懸念しそうな点をリストアップ
  • 市場規模の根拠、競合との差別化、収益モデルの詳細、チームのリスクなど、厳しい質問にも明確に答えられるように準備
  • 回答は簡潔かつ具体的に
  • 答えられない質問があった場合の対応も考えておく(例:「詳細なデータは別途お送りします」)

質疑応答は、投資家があなたのビジネスへの理解度や対応力を見極める重要な機会です。

時間配分の練習

  • ピッチには制限時間が設けられていることがほとんどです
  • 制限時間内に収まるように、各スライドの説明時間を計りながら練習
  • 特に重要なメッセージを伝える部分には、十分な時間を確保
  • タイマーを使って、本番同様の状況でリハーサルを繰り返す

時間管理能力も、ビジネス遂行能力の一部と見なされます。

自信を持ったプレゼンテーション

  • 練習を重ねることで、自信を持って話せるようになります
  • 多少の言い間違いや詰まりは気にせず、堂々とした態度で臨む
  • 服装や身だしなみにも気を配り、プロフェッショナルな印象を与える
  • 事業に対する情熱と成功への確信を、言葉と態度で示す

自信は、投資家に安心感と期待感を与えます。

投資家との対話を意識する

  • 一方的に話し続けるのではなく、投資家の反応を見ながら、対話を意識する
  • 適度な「間」を取ることで、投資家が考える時間を与える
  • 質疑応答では、質問の意図を正確に理解し、真摯に答える
  • ピッチは、投資家とのパートナーシップを築く第一歩

良好なコミュニケーションを通じて、信頼関係を構築することが重要です。

ピッチ資料のデザインに力を入れることはもちろん重要ですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に、プレゼンテーション本番での「伝え方」が成否を分けます。資料作成と並行して、これらの準備もしっかりと進めていきましょう。

ストーリーとデザインで、未来への扉を開く

スタートアップの資金調達において、ピッチ資料は投資家との最初の、そして最も重要な接点の一つです。しかし、単に事業計画やデータを並べただけでは、数多の提案の中に埋もれてしまう可能性が高いでしょう。投資家の心を掴み、共感を呼び、出資という決断を促すためには、論理的な説得力に加えて、感情に訴えかける「ストーリー」が不可欠です。

自社が解決しようとしている課題、その解決策がもたらす価値、それを実現するチームの情熱、そして描く未来のビジョン。これらを魅力的な物語として紡ぎ上げることが、ピッチの成功確率を飛躍的に高めます。

そして、そのストーリーを最大限に輝かせるのが「デザイン」の力です。シンプルで分かりやすく、視覚的に魅力的で、一貫性のあるデザインは、ストーリーの理解を助け、記憶への定着を促し、企業の信頼性を高めます。「Less is More」の原則を忘れず、読みやすさやブランドイメージにも配慮した、洗練されたデザインを目指しましょう。

ピッチ資料は、単なる説明資料ではありません。それは、あなたの事業への情熱とビジョンを、投資家という未来のパートナー候補に届けるための、想いのこもった「手紙」のようなものです。

今回ご紹介した、ストーリーの構成要素、デザインの原則、そしてピッチ本番への準備が、あなたの会社の未来を切り開く一助となれば幸いです。もし、ピッチ資料のデザインや、ストーリーの構築についてお悩みのことがあれば、ぜひ一度、専門家にご相談ください。 きっと、あなたの想いを形にし、投資家の心を動かすための最適な方法が見つかるはずです。


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