Webサイトは現代ビジネスの顔

企業のWebサイトは単なる情報発信ツールではありません。それは、顧客との最初の接点であり、企業の信頼性やブランドイメージを形作る「顔」とも言える重要な存在です。特に中小零細企業にとって、限られたリソースの中で最大限の効果を発揮するWebサイトを構築・運用することは、ビジネス成長の鍵を握ると言っても過言ではないでしょう。

そのWebサイト構築のプラットフォームとして、世界中で圧倒的なシェアを誇るのがWordPressです。その柔軟性や拡張性の高さから、多くの企業がWordPressを選択しています。しかし、いざWordPressでサイトを作ろうと考えたとき、多くの経営者や担当者の方が直面するのが、「自社で内製(自作)するか、それともプロのフリーランスデザイナーに依頼するか」という選択肢です。

どちらの方法にも一長一短があり、自社の状況や目的によって最適な選択は異なります。「コストを抑えたい」「とにかく早く立ち上げたい」「デザインにこだわりたい」「集客できるサイトにしたい…」様々な思いがある中で、どちらの道を選ぶべきか、悩まれる方も少なくないはずです。

この記事では、WordPressサイト構築における「自作」と「フリーランスデザイナーへの依頼」それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較・解説します。それぞれの特徴を深く理解することで、御社にとって最も合理的で効果的な選択をするための一助となれば幸いです。

WordPressサイトを自作するメリット

まずは、WordPressサイトを自社で内製、つまり自作する場合のメリットを見ていきましょう。

メリット1:初期コストを抑えられる

自作の最大の魅力は、やはり初期費用を大幅に削減できる可能性がある点です。外部に制作を依頼すれば当然、デザイン費やコーディング費、ディレクション費などが発生しますが、自作であればこれらの費用はかかりません。必要なのは、主にサーバー代とドメイン代、そして場合によっては有料テーマやプラグインの費用程度です。特に予算が限られているスタートアップや小規模事業者にとっては、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

メリット2:Webサイトに関する知識やスキルが身につく

自らWordPressサイトを構築する過程で、Webサイト制作に関する様々な知識やスキルを習得できます。HTMLやCSSの基礎、WordPressの操作方法、サーバーやドメインの知識、SEOの基本的な考え方など、実践を通して学ぶことで、Webリテラシーが向上します。これは、サイト公開後の運用・更新作業をスムーズに行う上でも役立ちますし、将来的にWebマーケティングを強化していく上での土台にもなり得ます。

メリット3:自由なタイミングで更新・修正ができる

自社でサイトを管理しているため、外部の都合に左右されることなく、いつでも好きなタイミングで情報の更新や修正が可能です。急なキャンペーン告知やニュースリリース、軽微なデザイン変更などを、スピーディーに反映させることができます。外部に依頼する場合、連絡を取り合って見積もりを取り、作業を依頼して…といった手間と時間がかかることがありますが、自作ならそのプロセスを省略できます。

メリット4:思い通りのカスタマイズが可能(知識があれば)

WordPressは非常に自由度が高く、テーマやプラグインを組み合わせることで、様々な機能を追加したり、デザインを調整したりできます。基本的な知識があれば、コーディングによってさらに細かなカスタマイズも可能です。自社の要望に合わせて、細部までこだわり抜いたサイトを構築できる可能性を秘めています。ただし、これはあくまで十分な知識とスキルがある場合に限られます。

WordPressサイトを自作するデメリット

一方で、自作には見過ごせないデメリットや注意点も存在します。メリットだけに目を向けるのではなく、これらのリスクもしっかりと理解しておくことが重要です。

デメリット1:膨大な時間と労力がかかる

WordPressは比較的簡単に始められるとはいえ、クオリティの高いサイトをゼロから構築するには、相応の時間と労力が必要です。特に、Web制作の経験がない場合は、基本的な操作方法の学習から始まり、デザインの検討、コンテンツ作成、各種設定、エラーへの対処など、多くの工程で試行錯誤を繰り返すことになるでしょう。本業の傍らでこれらの作業を行うとなると、相当な負担となり、結果的に本業がおろそかになってしまう可能性も否定できません。「時間もコストである」という視点を持つことが大切です。

デメリット2:専門知識やスキルの壁

理想通りのデザインや機能を実現しようとすると、HTML、CSS、PHP、JavaScriptといった専門的な知識やスキルが求められる場面が多くあります。また、サーバー設定、セキュリティ対策、SEO対策など、Webサイトを適切に運用していくためには、幅広い知識が必要です。これらの知識を独学で習得するには限界があり、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。結果として、中途半端なサイトになってしまったり、セキュリティ上の問題を見過ごしてしまったりするリスクがあります。

デメリット3:デザインのクオリティを担保しにくい

Webデザインは、単に見た目を整えるだけでなく、ユーザーの使いやすさ(UI: ユーザーインターフェース)、心地よい体験(UX: ユーザーエクスペリエンス)、そして最終的な成果(コンバージョン)に繋がるよう、緻密に設計されるべきものです。デザインの専門知識や経験がない場合、どうしても素人感のあるデザインになってしまったり、ユーザーにとって使いにくいサイトになってしまったりしがちです。企業の「顔」となるWebサイトのデザインクオリティが低いと、企業の信頼性やブランドイメージを損なう可能性すらあります。

デメリット4:セキュリティリスクへの対応

WordPressは世界中で利用されているがゆえに、悪意のある攻撃の標的になりやすいという側面もあります。セキュリティ対策を怠ると、サイト改ざん、情報漏洩といった深刻な事態を招きかねません。自作の場合、WordPress本体やプラグインのアップデート管理、不正アクセス対策、バックアップなど、セキュリティに関する責任をすべて自分で負うことになります。専門知識がないまま運用すると、気づかないうちに脆弱性を放置してしまうリスクがあります。

デメリット5:問題発生時に自己解決が必要

サイトが表示されなくなった、特定の機能が動かなくなった、といったトラブルは、Webサイト運用において起こり得るものです。自作の場合、これらの問題が発生した際に、原因究明から解決まで、すべて自分で行う必要があります。インターネットで情報を検索したり、コミュニティフォーラムで質問したりして解決できることもありますが、専門的な知識がないと原因特定が難しく、解決までに多くの時間を要したり、最悪の場合、復旧できなくなったりする可能性もあります。

フリーランスデザイナーに依頼するメリット

次に、WordPressサイトの構築をプロのフリーランスデザイナーに依頼する場合のメリットについて見ていきましょう。

メリット1:高品質でプロフェッショナルなデザイン

フリーランスデザイナーは、デザインの専門家です。最新のデザイントレンド、ユーザー心理に基づいたUI/UX設計、ブランディング戦略などを踏まえ、企業の魅力を最大限に引き出し、ターゲットユーザーに響く、高品質なWebサイトを制作してくれます。単に見た目が美しいだけでなく、使いやすく、訪問者を目的の行動(問い合わせ、資料請求、購入など)へと導くための導線設計も考慮されています。プロが手がけたデザインは、企業の信頼性向上に直結します。

メリット2:専門的な知識と経験を活用できる

Webサイト制作には、デザインスキルだけでなく、コーディング、WordPressの知識、SEO、セキュリティ対策、サーバー関連の知識など、多岐にわたる専門知識が必要です。フリーランスデザイナー(あるいは連携する専門家)は、これらの知識と豊富な経験を持っています。自社にノウハウがなくても、プロの知見を借りることで、技術的にもマーケティング的にも効果的なサイト構築が可能になります。特に、集客や売上向上といった明確な目的がある場合、その達成に向けた戦略的なサイト設計を期待できます。

メリット3:時間と労力を大幅に節約できる

Webサイト制作には多くの時間と労力がかかりますが、プロに依頼することで、その大部分を任せることができます。これにより、自社の担当者は、本来注力すべきコア業務に集中することができます。経営者や担当者の貴重な時間を、Webサイト制作の学習や試行錯誤に費やすのではなく、事業戦略の立案や営業活動、顧客対応といった、より生産性の高い業務に充てられることは、企業にとって大きなメリットです。これは、目に見える費用以上の価値と言えるでしょう。

メリット4:集客や成果につながるサイト構築の期待

経験豊富なデザイナーは、単に見た目の良いサイトを作るだけでなく、ビジネスの目的達成に貢献するサイトを設計します。ターゲットユーザーの分析、競合調査、キーワード選定、SEO内部対策、コンバージョンを意識した導線設計など、マーケティング視点を取り入れた提案をしてくれることが期待できます。「作って終わり」ではなく、公開後の成果を見据えたサイト構築は、プロならではの価値です。

メリット5:トラブル発生時のサポートや保守への期待

多くのフリーランスデザイナーは、サイト公開後の保守・運用サポートも提供しています。WordPress本体やプラグインのアップデート対応、定期的なバックアップ、軽微な修正、操作方法に関する質問への回答など、専門家によるサポートがあることで、安心してサイトを運用できます。万が一、トラブルが発生した場合でも、迅速な対応が期待できるため、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

フリーランスデザイナーに依頼するデメリット

もちろん、フリーランスデザイナーへの依頼にもデメリットや注意すべき点があります。

デメリット1:制作費用がかかる

当然ながら、プロに依頼するには費用が発生します。サイトの規模や機能、デザインの複雑さ、デザイナーの実績やスキルによって費用は大きく異なりますが、自作に比べて初期費用は高くなるのが一般的です。予算が非常に限られている場合は、依頼が難しいケースもあるでしょう。ただし、単に初期費用だけで判断するのではなく、長期的な視点での投資対効果(ROI)を考慮することが重要です。高品質なサイトがもたらす集客効果やブランドイメージ向上、機会損失の回避などを考えれば、費用以上の価値を生み出す可能性も十分にあります。

デメリット2:デザイナーとのコミュニケーションコスト

依頼者とデザイナーの間で、認識の齟齬なくプロジェクトを進めるためには、密なコミュニケーションが不可欠です。自社の要望やビジョンを正確に伝え、デザイナーからの提案を理解し、フィードバックを行う、といったやり取りには、相応の時間と労力がかかります。相性が悪いデザイナーや、コミュニケーションがスムーズにいかない相手を選んでしまうと、ストレスを感じたり、プロジェクトが円滑に進まなかったりする可能性があります。

デメリット3:デザイナー選びと相性の問題

フリーランスデザイナーは数多く存在し、スキルレベル、得意なデザインテイスト、仕事の進め方、費用感などは様々です。自社の目的やイメージに合った、信頼できるデザイナーを見つけ出すことが重要になります。ポートフォリオや実績、クライアントからの評判などを参考に慎重に選ぶ必要があります。また、スキルが高くても、担当者との相性が悪ければ、プロジェクトがうまく進まないこともあります。人柄やコミュニケーションの取りやすさも、重要な判断基準となります。

デメリット4:修正回数や範囲に制限がある場合

契約内容によっては、デザインの修正回数や、対応可能な作業範囲に制限が設けられている場合があります。契約前にこれらの条件をしっかりと確認しておかないと、後から「思っていたイメージと違うが、修正に追加費用がかかる」「この作業は契約範囲外だと言われた」といったトラブルに発展する可能性があります。契約内容は細部まで確認し、不明な点は事前に質問しておくことが大切です。

自作 vs デザイナー依頼:どちらを選ぶべきか?判断基準のポイント

ここまで、WordPressサイト構築における「自作」と「フリーランスデザイナー依頼」それぞれのメリット・デメリットを見てきました。では、結局どちらを選べば良いのでしょうか?明確な正解はなく、企業の状況や目的によって最適な選択は異なります。以下に、判断するためのポイントをいくつか挙げます。

判断ポイント1:予算

最もわかりやすい判断基準の一つが予算です。

  • 初期費用を極限まで抑えたい:自作を検討
  • ある程度の投資は可能:デザイナー依頼を検討

ただし、前述の通り、費用だけでなく、時間や労力、品質、将来的な成果といった要素も総合的に考慮する必要があります。

判断ポイント2:時間と人的リソース

Webサイト制作に割ける時間と、担当者のスキルレベルも重要な要素です。

  • 制作に十分な時間をかけられ、担当者に学習意欲と基礎知識がある:自作も可能
  • 本業が忙しく制作に時間を割けない、または社内に適任者がいない:デザイナー依頼が現実的

「時間=コスト」という意識を持ち、担当者の人件費や機会損失も考慮して判断しましょう。

判断ポイント3:求めるWebサイトの品質と目的

Webサイトに何を求めるかによっても、選択は変わってきます。

  • 名刺代わりのシンプルなサイトで十分、デザインに強いこだわりはない:自作でも対応可能
  • 企業のブランドイメージを高めたい、デザインで他社と差別化したい:デザイナー依頼が推奨
  • Webサイトからの集客や売上向上を明確な目的としている:専門的な知見を持つデザイナー依頼が有利

Webサイトがビジネスにおいてどのような役割を果たすべきかを明確にすることが重要です。

判断ポイント4:Webサイトに関する知識レベル

社内にWebサイトに関する知識や経験がどの程度あるかも考慮すべき点です。

  • 基本的なHTML/CSSやWordPressの操作、サーバー管理の知識がある:自作のハードルは低い
  • Webに関する知識がほとんどない、セキュリティや運用に不安がある:デザイナー依頼で安心感を得られる

知識不足のまま自作に挑戦し、問題が発生してから慌てて専門家を探す、といった事態は避けたいところです。

判断ポイント5:将来的な拡張性や運用体制

サイト公開後の運用や、将来的な機能追加なども見据えて検討しましょう。

  • 自社で継続的に更新・運用できる体制がある:自作・依頼どちらも可能
  • 機能追加や大幅なリニューアルの可能性がある:拡張性を考慮した設計ができるデザイナー依頼が有利
  • 保守・運用サポートも任せたい:サポート体制のあるデザイナー依頼が適している

これらのポイントを総合的に検討し、自社の状況に最も合った方法を選択することが、後悔のないWebサイト構築につながります。

フリーランスデザイナー選びで失敗しないために

もし、フリーランスデザイナーへの依頼を選択する場合、パートナー選びは非常に重要です。以下の点に注意して、信頼できるデザイナーを見つけましょう。

ポイント1:ポートフォリオと実績の確認

過去に制作したWebサイト(ポートフォリオ)を確認し、デザインのテイストやクオリティが自社のイメージに合っているかを確認します。多様な業種や規模のサイト制作実績があるかどうかも参考になります。

ポイント2:コミュニケーション能力と相性

問い合わせへの返信の速さや丁寧さ、説明のわかりやすさなど、コミュニケーションが円滑に行える相手かを見極めます。可能であれば、事前にオンラインミーティングなどで直接話し、人柄や相性を確認することをおすすめします。

ポイント3:得意分野とスキルの確認

デザイナーによって得意な分野(例:BtoBサイト、ECサイト、ブランディング重視のデザインなど)や、対応可能なスキル(例:コーディング、SEO、マーケティング知識)は異なります。自社の要望に応えられるスキルを持っているかを確認しましょう。

ポイント4:見積もり内容の明確さ

見積もりの内訳が詳細で、作業範囲や含まれる内容、追加費用が発生するケースなどが明確に記載されているかを確認します。不明瞭な点があれば、契約前に必ず質問し、納得できるまで説明を求めましょう。

ポイント5:契約内容とサポート体制の確認

制作後の修正対応、納品形式、著作権の扱い、保守・運用サポートの有無と内容など、契約に関する条件を細部まで確認します。特に、サイト公開後のサポート体制は、長期的な安心につながる重要なポイントです。

最適な選択で、ビジネスを加速させるWebサイトを

WordPressでのWebサイト構築において、「自作」と「フリーランスデザイナー依頼」は、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

自作はコストを抑えられ、Webスキルが身につく反面、多大な時間と労力、専門知識の壁、品質担保の難しさといった課題があります。一方、フリーランスデザイナーへの依頼は、高品質なサイトが期待でき、時間と労力を節約できる反面、費用がかかり、コミュニケーションや相性の問題が生じる可能性もあります。

どちらが絶対的に優れているというわけではなく、御社の予算、時間、人的リソース、求める品質、そしてWebサイトを通じて達成したい目的を総合的に考慮し、最適な方法を選択することが最も重要です。

もし、自社のリソースだけでは不安がある、プロの視点を取り入れて効果的なサイトを作りたい、本業に集中したい、とお考えであれば、フリーランスデザイナーへの依頼は有力な選択肢となるでしょう。信頼できるパートナーを見つけることができれば、費用以上の価値を得られる可能性は十分にあります。

この記事が、御社にとって最適なWebサイト構築方法を見つけるための一助となれば幸いです。


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