はじめに:なぜデザイン発注が重要なのか?
会社の顔とも言えるウェブサイトやパンフレット、名刺などのデザイン。これらは、顧客や取引先が最初に貴社に触れる重要な接点です。「人は見た目が9割」という言葉があるように、デザインの良し悪しは、会社の第一印象を大きく左右し、信頼性にも直結します。
しかし、中小零細企業においては、「デザインにまで手が回らない」「コストをかけられない」といった理由から、デザイン業務を社内で兼任したり、十分な検討をしないまま発注してしまったりするケースも少なくありません。その結果、どこか垢抜けない「素人っぽい」デザインになってしまい、本来伝えたい企業の魅力や価値が十分に伝わらず、ビジネスチャンスを逃している可能性があります。
「素人っぽい」デザインは、具体的にどのようなデメリットをもたらすのでしょうか。
- 信頼性の低下:デザインが洗練されていないと、商品やサービスの品質まで低く見られがち
- メッセージの不明瞭化:情報が整理されておらず、伝えたいことが的確に伝わらない
- 競合との差別化失敗:他社との違いが明確にならず、埋もれてしまう
- 機会損失:ウェブサイトからの問い合わせ減少、パンフレットの効果低迷など
これらのデメリットは、売上減少やブランドイメージの低下に繋がりかねません。逆に言えば、デザインに適切に投資することは、会社の信頼性を高め、ビジネスを成長させるための重要な戦略となり得るのです。
プロのデザイナーや制作会社に依頼することには、多くのメリットがあります。
- 質の高いデザイン:専門的な知識と技術に基づいた、洗練されたデザインの実現
- 客観的な視点:社内では気づきにくい、新たな視点やアイデアの獲得
- 時間と手間の削減:デザイン業務をアウトソースすることで、コア業務に集中
- 効果的なコミュニケーション:ターゲットに響く、戦略的なデザインの提案
- ブランドイメージの向上:統一感のあるデザインによる、企業価値の向上
本記事では、中小零細企業の経営者や担当者の皆様が、「素人っぽさ」から卒業し、会社の信頼を高めるためのデザイン発注の基本について、具体的なステップを追いながら解説していきます。デザイン発注に不安を感じている方、より効果的なデザインを目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
デザイン発注の前に準備すべきこと
デザイン制作を依頼する前に、社内でしっかりと準備を進めておくことが、プロジェクト成功の鍵を握ります。デザイナーは魔法使いではありません。依頼側の意図や目的が曖昧なままでは、期待通りの成果を得ることは難しいでしょう。「何を」「誰に」「どのように」伝えたいのかを明確にすることが、デザイン発注の第一歩です。
目的の明確化:何のためにデザインが必要か?
まず、なぜデザインが必要なのか、その目的を具体的に考えましょう。目的が明確であればあるほど、デザイナーは的確な提案をしやすくなります。
- 例:
- 新規顧客獲得のためのウェブサイトリニューアル
- 既存顧客への新サービス案内のためのパンフレット作成
- 企業の認知度向上のためのロゴマーク作成
- 採用活動強化のための会社案内作成
- 展示会での集客力アップのためのブースデザイン
「かっこいいデザインにしたい」といった抽象的な要望だけでなく、デザインを通じて達成したい具体的なビジネス目標を設定することが重要です。
ターゲット設定:誰に届けたいデザインか?
次に、そのデザインを誰に届けたいのか、ターゲット層を明確にします。ターゲットが変われば、響くデザインのテイストや表現方法も異なります。
- ターゲットの属性:
- 年齢層:20代向けか、50代向けか
- 性別:男性向けか、女性向けか、あるいは両方か
- 職業・役職:経営者向けか、一般消費者向けか
- 興味・関心:どのようなライフスタイルや価値観を持っているか
- 抱えている課題:どのような悩みやニーズを持っているか
ターゲット像を具体的に描くことで、よりパーソナルで、心に響くデザインを生み出すことができます。ペルソナ(架空の顧客像)を設定するのも有効な手段です。
伝えたいメッセージ:デザインを通して何を訴えたいか?
デザインは、言葉と同様に、企業のメッセージを伝えるための重要なコミュニケーションツールです。デザインを通して、ターゲットに何を伝え、どのような印象を与えたいのかを整理しましょう。
- 伝えたいことの例:
- 企業の強みや独自性:他社にはない技術力、長年の実績、手厚いサポートなど
- 商品・サービスの魅力:機能性、デザイン性、コストパフォーマンス、利便性など
- ブランドコンセプト:企業の理念、ビジョン、世界観など
- 提供する価値:顧客が何を得られるか、どのような未来を実現できるか
最も伝えたい核心的なメッセージを絞り込み、簡潔な言葉で表現してみましょう。キャッチコピーやコンセプトワードがあると、デザイナーとのイメージ共有がスムーズになります。
競合調査:競合他社はどのようなデザインをしているか?
自社が属する業界や市場において、競合他社がどのようなデザイン戦略をとっているかを調査することも重要です。
- 調査のポイント:
- ウェブサイトのデザイン、構成、コンテンツ
- パンフレットや広告のデザイン、メッセージ
- ロゴマークやブランドカラー
- SNSでの発信内容やデザインテイスト
競合のデザインを分析することで、自社のデザインの方向性を決めたり、差別化を図るためのヒントを得たりすることができます。ただし、単に真似をするのではなく、あくまで参考として、自社ならではの強みや個性を打ち出すことが重要です。
参考イメージの収集:好きなデザイン、目指したい雰囲気の具体例
言葉だけでデザインのイメージを伝えるのは難しいものです。目指したいデザインの雰囲気やテイストに近い参考イメージを集め、デザイナーと共有しましょう。
- 参考イメージの収集方法:
- 競合他社や異業種のウェブサイト
- デザインギャラリーサイト(Pinterest、Behanceなど)
- 雑誌、書籍、広告
- 街で見かけた看板やポスター
好きなデザインだけでなく、「これは避けたい」というNGイメージも共有すると、より認識のズレを防ぐことができます。なぜそのデザインが良いと感じるのか、具体的な理由も添えると、デザイナーは意図を汲み取りやすくなります。
予算と納期の決定:現実的な範囲での設定と、余裕を持ったスケジューリング
デザイン制作には、当然ながらコストと時間が必要です。事前に予算の上限と希望納期を明確にしておくことが大切です。
- 予算設定の考慮事項:
- デザインの種類(ロゴ、ウェブサイト、パンフレットなど)
- 制作物の規模やページ数
- 必要な機能(ウェブサイトの場合:CMS導入、EC機能など)
- 写真撮影やイラスト作成の有無
- 修正回数の想定
- 納期設定の考慮事項:
- デザイン制作に必要な標準的な期間(依頼先への確認が必要)
- 社内での確認や承認プロセスにかかる時間
- 印刷や開発など、デザイン制作以外の工程にかかる時間
- 予期せぬ遅延に備えたバッファ
予算と納期は、依頼するデザイナーや制作会社の選定基準にもなります。現実的な範囲で設定し、無理のないスケジュールを組むことが、スムーズなプロジェクト進行に繋がります。特に納期に関しては、希望日ギリギリではなく、余裕を持った設定を心がけましょう。
これらの準備を事前に行うことで、デザイン発注のプロセスが格段にスムーズになり、より満足度の高い成果を得られる可能性が高まります。
失敗しないデザイナー・制作会社の選び方
デザインの目的や要件が固まったら、次は実際に制作を依頼するパートナー選びです。数多くのデザイナーや制作会社の中から、自社に最適な相手を見つけることは、プロジェクトの成否を分ける重要なポイントです。価格だけで選ぶのではなく、複数の視点から総合的に判断しましょう。
ポートフォリオ(実績)の確認:得意分野やテイストが自社の求めるものと合っているか
まず、候補となるデザイナーや制作会社のポートフォリオ(過去の制作実績)を必ず確認しましょう。ポートフォリオは、そのデザイナーのスキル、得意な分野、デザインのテイストを知るための最も重要な情報源です。
- 確認ポイント:
- 制作物の種類:自社が依頼したい制作物(ウェブサイト、ロゴ、印刷物など)の実績が豊富か
- デザインのテイスト:自社のブランドイメージや目指す雰囲気に合っているか
- クオリティ:細部まで丁寧に作り込まれているか、デザインの質は高いか
- 業界・業種:自社と同じ、または近い業界での実績があるか(必須ではないが、理解が早い可能性がある)
見た目の好みだけでなく、そのデザインがどのような目的で作られ、どのような成果につながったのか(もし情報があれば)という視点も持つと、より本質的な評価ができます。
コミュニケーション能力:意図を正確に汲み取り、円滑なやり取りができるか
デザイン制作は、依頼主とデザイナーとの共同作業です。そのため、デザイナーのコミュニケーション能力は非常に重要です。こちらの意図や要望を正確に理解し、専門的な内容を分かりやすく説明してくれるか、スムーズな意思疎通が図れるかを見極めましょう。
- 確認ポイント:
- ヒアリング力:こちらの話を丁寧に聞き、本質的な課題や要望を引き出してくれるか
- 説明力:専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明してくれるか
- 質問への対応:疑問点に対して、的確かつ迅速に回答してくれるか
- 連絡の頻度や方法:報告・連絡・相談がスムーズに行えるか
- 人柄や相性:一緒にプロジェクトを進めていきたいと思えるか
最初の問い合わせや打ち合わせ時の対応から、コミュニケーション能力を判断することができます。レスポンスの速さや丁寧さも重要な指標です。
提案力:こちらの要望を踏まえつつ、プロの視点からの提案があるか
依頼主の要望をそのまま形にするだけでなく、プロフェッショナルとしての視点から、より良いデザインにするための提案をしてくれるデザイナーは頼りになります。
- 確認ポイント:
- 課題解決への意識:こちらの要望の背景にある課題を理解し、それを解決するためのデザインを考えてくれるか
- 多角的な視点:デザインだけでなく、マーケティングやブランディングの視点も持っているか
- 新たなアイデア:こちらの想像を超えるような、創造的な提案があるか
- 根拠のある説明:なぜそのデザインが良いのか、論理的な説明があるか
打ち合わせの中で、積極的に質問をしたり、 alternative案 を提示したりしてくれるかどうかを見てみましょう。
見積もりの妥当性:料金体系が明確で、内容に見合った価格か
デザイン料は、依頼する内容やデザイナーによって大きく異なります。提示された見積もりが、作業内容やクオリティに見合った妥当な金額であるかを確認しましょう。
- 確認ポイント:
- 料金体系の明確さ:何にどれくらいの費用がかかるのか、内訳が分かりやすいか
- 作業範囲の明記:どこまでの作業が含まれているのか(例:修正回数、写真素材費、印刷費など)
- オプション料金:追加で費用が発生するケースとその金額が明示されているか
- 相場との比較:複数の候補から見積もりを取り、相場感を把握する
単に安いだけでなく、費用対効果を考えることが重要です。安すぎる見積もりには、作業範囲が限定的であったり、クオリティに問題があったりする可能性も潜んでいます。不明な点は遠慮なく質問し、納得できるまで確認しましょう。
契約内容の確認:著作権の帰属、修正回数、支払い条件など
正式に発注する前に、契約内容を細部までしっかりと確認することが、後のトラブルを防ぐために不可欠です。
- 確認すべき主な項目:
- 著作権の帰属:制作されたデザインの著作権は誰に帰属するのか(通常は譲渡されることが多いが、要確認)
- 二次利用の範囲:納品されたデザインを他の媒体で利用する場合の条件
- 修正回数と範囲:無料で対応してもらえる修正の回数や範囲、それを超えた場合の料金
- 納品形式:どのようなデータ形式で納品されるのか(ai、psd、jpg、png、pdfなど)
- 支払い条件:支払い時期(着手金、中間金、完了時など)、支払い方法
- 秘密保持義務:プロジェクトに関する情報の取り扱い
- 納期と遅延時の対応:納期が守られなかった場合の取り決め
口約束ではなく、必ず書面で契約を交わすようにしましょう。契約書の内容に疑問点があれば、必ず事前に解消しておくことが大切です。
これらのポイントを踏まえ、複数の候補を比較検討し、信頼できるパートナーを見つけることが、デザイン発注を成功させるための重要なステップとなります。
デザイン発注の進め方:依頼から納品まで
信頼できるデザイナーや制作会社が見つかったら、いよいよデザイン制作のプロセスが始まります。スムーズにプロジェクトを進め、期待通りの成果を得るためには、依頼主側も各段階で適切な関与と協力が求められます。デザイナー任せにせず、積極的にコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要です。
オリエンテーション(打ち合わせ):準備した情報を共有し、認識を合わせる
プロジェクトのキックオフとなるのが、オリエンテーション(最初の打ち合わせ)です。ここでは、「デザイン発注の前に準備すべきこと」で整理した情報をデザイナーに共有し、プロジェクトの目的、ターゲット、コンセプト、予算、納期などについて、依頼主とデザイナーの間で認識を合わせます。
- オリエンテーションで伝えるべきこと:
- プロジェクトの背景と目的
- ターゲット顧客の詳細
- 伝えたいメッセージ、ブランドイメージ
- 競合情報
- 参考イメージ(好き・嫌い)とその理由
- 予算と希望納期
- デザインに盛り込みたい要素(ロゴ、写真、テキスト原稿など)
- 現時点で決まっている仕様(サイズ、色数など)
事前に準備した資料を提示し、口頭でも丁寧に説明しましょう。デザイナーからの質問には、できる限り具体的に答えることで、イメージの共有が深まります。この段階での丁寧なすり合わせが、後の手戻りを防ぎます。
要件定義:デザインの仕様、サイズ、色、フォントなどを具体的に決定
オリエンテーションでのヒアリング内容に基づき、デザイナーは具体的なデザインの仕様を詰めていきます。依頼主側も、必要な情報を提供し、仕様決定に関与します。
- 決定すべき主な仕様:
- 制作物の種類とサイズ:ウェブサイトのページ構成、パンフレットのページ数や折り方、名刺のサイズなど
- 色:メインカラー、サブカラー、アクセントカラーなど(ブランドカラーがあればそれをベースに)
- フォント(書体):ゴシック体か明朝体か、与えたい印象に合わせた選択
- 使用する素材:ロゴデータ、写真、イラスト、テキスト原稿などの提供
- 機能要件(ウェブサイトの場合):お問い合わせフォーム、CMS、レスポンシブ対応など
- 印刷仕様(印刷物の場合):用紙の種類、厚さ、表面加工(マット、光沢など)
仕様が曖昧なままだと、デザイン作業を進めることができません。不明な点や判断に迷う点は、デザイナーに相談しながら決定していきましょう。
デザイン案の提示とフィードバック:複数案から選び、具体的な改善点を伝える
要件定義に基づき、デザイナーがデザイン案を作成し、提示します。通常、複数の案(方向性の異なるものなど)が提示されることが多いです。依頼主は、これらの案を比較検討し、フィードバックを行います。
- フィードバックのポイント:
- 目的やターゲットに合っているか:当初設定した目的を達成できそうか、ターゲットに響くデザインか
- コンセプトが表現されているか:伝えたいメッセージやブランドイメージが反映されているか
- デザインの好み:直感的に「良い」と思えるか、違和感はないか
- 改善点:具体的な箇所を指摘し、「なぜそう思うのか」「どのように改善してほしいのか」を伝える
- 良かった点:良いと感じた部分も具体的に伝えることで、デザイナーのモチベーション向上や方向性の確認に繋がる
フィードバックは、抽象的な感想(例:「もっとかっこよく」)ではなく、できるだけ具体的に伝えることが重要です。「ここの文字をもう少し大きく」「この写真をもっと明るく」など、具体的に指示することで、デザイナーは修正作業を進めやすくなります。複数人で確認する場合は、意見を取りまとめてから伝えるようにしましょう。
修正対応:フィードバックに基づき修正、方向性を固める
受け取ったフィードバックに基づき、デザイナーがデザイン案を修正します。修正後のデザインを再度確認し、必要であれば追加のフィードバックを行います。このプロセスを何度か繰り返し(契約で定められた修正回数の範囲内で)、最終的なデザインの方向性を固めていきます。
- 修正依頼時の注意点:
- 修正指示はまとめて伝える:何度も小出しに指示すると、作業効率が悪くなり、追加料金が発生する可能性も
- 当初の目的から逸脱しない:修正を重ねるうちに、本来の目的を見失わないように注意
- 大幅な変更は避ける:制作が進んだ段階での大幅な方向転換は、追加料金や納期遅延の原因となるため、初期段階でのすり合わせが重要
建設的なコミュニケーションを心がけ、デザイナーと協力してより良いデザインを目指す姿勢が大切です。
最終確認とデータ納品:細部までチェックし、必要な形式でデータを受け取る
デザインがFIX(確定)したら、納品前に最終確認を行います。誤字脱字、情報の誤り、デザインの崩れなどがないか、細部まで注意深くチェックしましょう。特に、電話番号や住所、URLなどの重要な情報は念入りに確認が必要です。
- 最終確認のチェックリスト例:
- 文字情報:誤字脱字、衍字(えん字)、名称や肩書きの正確性
- 数字情報:電話番号、住所、価格、日付などの正確性
- 画像:解像度は十分か、意図した画像が使用されているか
- レイアウト:文字や画像のズレ、不要な空白などがないか
- 色:指定した色で表現されているか(画面と印刷物では色味が異なる場合がある点に留意)
- リンク(ウェブサイトの場合):正しくリンク先に飛ぶか
問題がなければ、デザイナーに最終OKの連絡をし、契約で定められた形式(例:印刷用データ、ウェブ用データなど)でデザインデータを受け取ります。納品されたデータが、依頼した通りの形式・内容であるかを確認して、プロジェクトは完了となります。
発注後の注意点と活用方法
デザインデータが無事に納品されたら、それで終わりではありません。制作したデザインの効果を最大限に引き出し、将来にわたって活用していくためには、発注後の管理や展開も重要になります。作ったデザインを「資産」として捉え、大切に育てていく視点を持ちましょう。
デザインデータの管理:紛失しないように、ルールを決めて保管
納品されたデザインデータは、会社の重要な資産です。後で修正が必要になったり、別の媒体で利用したりする場合に備え、適切に管理・保管しておく必要があります。
- データ管理のポイント:
- 保管場所の統一:社内の共有フォルダなど、関係者がアクセスしやすい場所に一元管理
- ファイル名のルール化:案件名、制作物名、日付などを入れて分かりやすく命名
- バージョン管理:修正履歴が分かるように、ファイル名やフォルダで管理
- バックアップ:万が一のデータ消失に備え、定期的にバックアップを取る
- 担当者の明確化:データ管理の責任者を決めておく
特に、ロゴデータや編集可能な元データ(ai、psd形式など)は、様々な場面で必要になるため、紛失しないよう、厳重に管理しましょう。
デザインガイドラインの作成(推奨):ロゴやカラールールなどを定め、ブランドイメージを統一
特にロゴマークなどを制作した場合、その後の様々なツール(名刺、封筒、ウェブサイト、パンフレットなど)で展開していくことになります。その際、使用ルールが曖昧だと、色やサイズ、配置などがバラバラになり、せっかく作ったデザインの効果が薄れ、ブランドイメージの統一感が損なわれてしまいます。
そこでおすすめなのが、「デザインガイドライン」の作成です。
- デザインガイドラインに含める主な内容:
- ロゴの使用規定:最小使用サイズ、アイソレーション(周囲の余白)、禁止事項(変形、色変更など)
- カラーパレット:ブランドカラー(メインカラー、サブカラー)のRGB、CMYK、HEX値指定
- フォント指定:使用する和文・欧文フォントの種類、サイズ、ウェイトなどのルール
- その他:写真の使用ルール、イラストのトンマナ(テイスト)など
ガイドラインを作成しておくことで、誰がデザインに関わる場合でも、一貫性のあるブランドイメージを保つことができます。デザイナーに依頼して作成してもらうのが一般的ですが、簡易的なものであれば自社で作成することも可能です。
効果測定と改善:デザイン変更後の反響を分析し、次につなげる
デザインは、作って終わりではありません。特にウェブサイトや広告など、ビジネス目標に直結するデザインの場合は、その効果を測定し、改善につなげていくことが重要です。
- 効果測定の指標例:
- ウェブサイト:アクセス数、滞在時間、離脱率、コンバージョン率(問い合わせ数、資料請求数など)
- パンフレット・チラシ:配布後の問い合わせ数、クーポン利用率など
- 広告:クリック率、インプレッション数、費用対効果(ROAS)
- 顧客アンケート:デザイン変更後の印象や満足度調査
アクセス解析ツールやアンケートなどを活用し、デザイン変更前後の数値を比較・分析します。もし期待した効果が得られていない場合は、何が原因なのかを考え、デザインの修正やコンテンツの見直しなど、改善策を検討・実施します。このPDCAサイクルを回していくことで、デザインの効果を継続的に高めていくことができます。
まとめ:信頼を高めるデザイン投資の重要性
これまで、会社の信頼を高めるためのデザイン発注の基本について、準備段階から発注後の活用まで、一連の流れを解説してきました。
デザインは、単なる「見た目」の問題ではありません。それは、企業の価値を伝え、顧客との関係を築き、ビジネスを成長させるための重要なコミュニケーション戦略です。「素人っぽい」デザインから脱却し、プロフェッショナルなデザインを取り入れることは、会社の信頼性を向上させ、競合との差別化を図り、最終的には売上や利益の向上にも貢献します。
デザイン発注は、決して難しいことではありません。
- 目的を明確にし
- ターゲットを定め
- 伝えたいメッセージを練り
- 信頼できるパートナーを選び
- 丁寧なコミュニケーションを重ねる
これらの基本的なステップを踏むことで、中小零細企業であっても、自社の魅力を最大限に引き出す、効果的なデザインを実現することが可能です。
デザインへの投資は、短期的なコストではなく、会社の未来を形作るための長期的な投資です。プロのデザイナーや制作会社と協力し、戦略的なデザインを取り入れることで、貴社のビジネスは新たなステージへと進むことができるでしょう。
この記事が、皆様のデザイン発注の一助となり、会社のさらなる発展に貢献できれば幸いです。
![]() |
無償のデザインコンサルをご希望の方はSquareより予約をお願いいたします。https://marzd.square.site/ |