デザインって、うまくいくときもあれば、失敗するときもありますよね。クライアントに「これじゃない」と言われたり、自分で「何だこれ…」って頭抱えたり。でも、その失敗って実は宝物なんです。失敗から学べば、次に同じミスを避けられるし、もっと良いデザインにたどり着けます。今回は、「デザインにおける失敗から学ぶ」をテーマに、実例と教訓をまとめてみました。私や周りのデザイナーの失敗談、海外の有名ケースも交えて、具体的に掘り下げます。失敗を成長のステップに変えるヒントとして、一緒に見ていきましょう!
はじめに:失敗はデザイン制作プロセスの一部
デザインの世界で失敗しない人なんていないのでは。ポール・ランドだって初期のロゴ案はボツくらってたし、Apple の初代ロゴだって今見ると「何これ?」って感じ。失敗って、完璧を目指す過程で必ず出てくるもの。問題は、それをどう受け止めて、どう次に活かすか。ここでは、実例を通じて「何がダメだったか」「どうすれば良かったか」を紐解いていきます。失敗を恐れず、学びに変えるマインドを持ってみませんか?
1. A氏の失敗談:クライアントの意図を軽視したロゴデザイン
何が起きた?
数年前、地元のカフェからロゴデザインの依頼を受けたA氏。オーナーが「ナチュラルで温かい感じに」と言っていたのに、A氏の頭の中では当時トレンドだった「モダンでクールなミニマリズム」のアイデアが勝手に膨らんで、黒とグレーのシャープなデザインを提案。結果「全然イメージと違う」「冷たい感じがする」と一蹴された。
何が問題だった?
- 聞き逃し:クライアントの「ナチュラル」「温かい」を軽視して当時のトレンドを押し付けた
- 確認不足:初期段階にて「このラフデザイン案の方向性で良いか?」と確認しなかった
教訓
- クライアントの意向を理解する:トレンドより依頼主のニーズを形にすることが大事。最初のヒアリングでキーワードをメモするなどして何度も確認
- 途中経過を共有:初期段階でスケッチやラフデザインを見せておけば、意思疎通のズレに早く気づけたはず
その後
やり直して、薄茶系の色と丸みのある形、手書き風のフォント、で提案したら「これこれ!」と喜ばれた。失敗が「聞く力」「方向性のすり合わせ」の大切さを教えてくれたようです。
2. B氏の失敗:ウェブデザインのアクセシビリティ無視
何が起きた?
B氏が、ある企業のウェブサイトを作ったとき、グレーの背景に白文字で「オシャレ!」って満足していた。でも、プレゼン時に「文字が見づらい」「高齢者が読めない」と指摘された。
何が問題だった?
- 視認性軽視:クールなデザイン優先で、コントラストの基準(WCAGの4.5:1)等を無視
- テスト不足:提出前にいろんな人に見てもらわず、自分の視点だけで初期案を進めた
教訓
- アクセシビリティを基本に:見た目より「誰でも使える」が先。コントラストチェックツール WebAIM、Contrast Grid、等を使う
- ユーザー目線でテスト:公開前に、自分以外の誰かに「見やすい?」と聞く
その後
修正後は、極薄いグレー背景と黒文字に変えて可読性が向上。「クールなテイストより実用性」。
3. 海外事例:Tropicana のリブランド失敗
何が起きた?
2009年、Tropicana(トロピカーナ オレンジジュース)がパッケージを大胆にリニューアル。オレンジの写真とストローのクラシックデザインを捨てて、縦書きのモダンな文字とグラスに入ったオレンジジュースに変えるなど大規模なリブランドを実施しました。ところが、これまで年商約7億ドル(当時のレートで約700億円/年)あった売り上げが、わずか2ヶ月間で20%も減少してしまったのです。
トロピカーナは、広告キャンペーンとパッケージデザインに3500万ドル(当時のレートで約35億円)を投じたが、全て水の泡となってしまった。
消費者から「どれが Tropicana か分からない」「安っぽい」など大不評となり、数ヶ月で元のパッケージデザインに戻した。
何が問題だった?
- ブランド認知の喪失:馴染みのビジュアルを捨て、ファンが混乱
- ターゲット無視:新しさ優先、著名デザイナー優先で、既存客の愛着を見誤った
教訓
- ブランド資産を守る:変えるなら、すでに認知されてる要素(色や形)を残す
- 事前調査:消費者テストで反応を見てから大きく動く
その後
この失敗は「デザイン変更は慎重に」の教訓を業界に残しました。
4. 海外事例:GAPのロゴ変更の大失敗
何が起きた?
2010年、セリフ体&コンデンスド(縦長)のクラシックな雰囲気の GAP ロゴを、Helvetica フォントの平凡なデザインの Gap に変更しました。発表後、SNSでファンから「素人っぽい」「アイデンティティがない」と炎上。1週間で元のセリフ体&コンデンスドのロゴに戻しました。
何が問題だった?
- 個性喪失:GAP らしい伝統と信頼感が消えた
- ファン軽視:意見聞をかず、突然変えたから反発を招いた
教訓
- 個性をキープ:ブランドの「らしさ」を捨てない。変えるなら少しずつ
- コミュニティを巻き込む:ファンに「このロゴどう思う?」って聞くのもアリ
その後
GAPは「失敗から学ぶ」姿勢を見せて、信頼回復に努めた。
5. C氏の失敗:過剰デザインで時間浪費
何が起きた?
ポスターの依頼にて「派手に目立たせたい」と言われ、色10色以上、フォント5種類、装飾山盛りで提案。クライアントは「ごちゃごちゃして何が何だか…」と困惑。結局シンプルな案に変更し、2週間が無駄に。
何が問題だった?
- 引き算不足:クラインアントの意向を直訳で解釈することなく意訳を心がける
- 時間管理ミス:はじめに素案をプレゼンし方向性を確認してから制作すれば、早合点による作業時間は無駄にならなかった
教訓
- シンプルさの力:少ない要素で伝えるのが強いデザイン
- 早めに絞る:アイデア出しは広くても、早い段階で方向性決める
その後
次からは「3色、2フォント」以内とインハウスルールを決めた。効率も上がって喜ばれた。
6. チームの失敗:コミュニケーション不足でズレ
何が起きた?
仲間と組んだプロジェクトにて、A氏がデザインディレクション、B氏がデザイン担当。すでに見本のデザインがあったため、大枠のデザインの方向性を口頭だけで説明。1回目のラフデザインで見本のデザインと全然違うレイアウトに。修正に1週間ほどかかった。
何が問題だった?
- 曖昧な指示:見本のデザインがあったことにあぐらをかいて、詳細情報を共有しなかった
- ツール未活用:デザイン仕様をきちんと渡さなかった
教訓
- 明確に伝える:見本と言葉だけではなく、気をつける点のスケッチやメモを
- ツール使う:Zeplin や Figma 等のツールでリアルタイム共有すれば大きくズレない
その後
Zeplin や Figma 等のツールで進捗を見せ合いながら進めたらスムーズに。
7. 海外事例:Pepsi の「Kendall Jenner」広告失敗
何が起きた?
2017年、Pepsi が社会運動をテーマにしたCMをリリース。モデルがデモ隊にペプシを渡して和解、のような内容が「軽薄」「現実と乖離」と批判され、数日で撤回。
何が問題だった?
- トーン違い:深刻なテーマを軽く扱った
- ターゲット誤解:若者に響くつもりが逆効果
教訓
- 文脈を理解:デザインやビジュアルの方向性が合っているのか
- 事前テスト:公開前に反応チェック
その後
Pepsi は謝罪して、慎重なブランディングにシフト。
8. 教訓まとめ:失敗から得たデザイナーへのアドバイス
- 直訳から意訳へ:クライアントやユーザーの声の本質は?
- シンプルに:作り込み過ぎず、引き算の美を
- テスト大事:事前に確認すれば大失敗は防げる
- チームワーク:明確なコミュニケーションが鍵
- 失敗を糧に:ミスを次に活かせば成長
- 実践ステップ:次に活かすために
- 失敗したら「何がダメだった?」をノートに
- クライアントに「どこが違ったか」を聞く
- 制作プロセスとレビュープロセスを見直し
最後に:失敗はデザインの先生
意思疎通の失敗、Tropicana のリブランドミス、GAPの炎上、など、失敗は学びの宝庫。次なるデザイン制作の際は、これらの教訓を思い出してみてください。
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