コーポレートフォント
古くは、AppleやIBMなどのグローバル企業において、コーポレートフォントを採用したビジュアルアイデンティティへの取り組みは、企業ブランドの確立に寄与したことでしょう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Typography_of_Apple_Inc.#Apple_Garamond
https://www.ibm.com/plex/
現代においても、日本の企業が自身のアイデンティティ、ブランディング、マーケティング、などの側面からか、コーポレートフォントを採用する事例をニュースやプレスリリース等で見かけるようになりました。
まだまだ事例としては少ない案件ですが、これからの企業ブランドにおけるコーポレートフォントは、ロゴマーク制定にとどまることなく、コーポレートイメージをつくりだすツールとして、これまで以上に採用されて行くのではないかと考えています。
コーポレートフォントの制定は、大企業やデザイン思考を推進しているような企業でないと採用には至らないケースが多いかと思います。
一方、中小企業や個人経営者を相手にした際も、コーポレートフォントの制定とはいかないまでも、企業スタイルや制作物の特性に応じた書体選びは、私たちデザイナーの責任において取り組むべき課題ではないでしょうか。
企業風土や制作物の特性に応じた書体を選定する際に役に立つのが、ここで紹介する「和文書体フォントの印象に関する研究」です。
「9種類の和文書体フォント」から大学生124名が受ける印象
向井 氏の研究によれば、ゴシック体、丸ゴシック体、明朝体、教科書体、行書体、など「9種類の和文書体フォント」から大学生124名が受ける印象を「親しみやすさ」「活発さ」「安定性」など、36項目の形容詞に置き換えた調査結果を入手することができます。
向井 氏の研究の締め括りとして「さらに,フォント毎に重視されるポイントがカテゴ リー分類されたことにより,広告やパッケージにフォントを活用する際に有効となる一情報となりえることが考えられる。」と記されています。
このことから、色が与える心理的影響と同様に、書体からも心理的印象を受けることを勘案しながら、クライアントに対し「なぜ、この書体を使うのか?」を説明する際の説得材料として活用できるのではないでしょうか。
参考資料/参考サイト
▼「和文書体フォントの印象に関する因子構造の探索的検討と分類」
向井 志緒子 氏(立教大学大学院現代心理学研究科)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/60/0/60_221/_pdf/-char/en
▼ SONY「93言語対応 SSTフォント開発プロジェクト」
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/design/stories/sst-font/
▼ 資生堂「文字の「美」を発見する。若手デザイナーが描く『小村雪岱と資生堂書体』展」
https://www.shiseidogroup.jp/advertising/work/detail/komurasettai_shiseidosyotai.html
https://daily-and-art.com/culture/134#i
▼ DENSO「コントラプンクトとの協業 デンソー フィットフォントプロジェクト」
https://typeproject.com/story/1920
▼ Adobe「「源ノ角ゴシック」構想は25年前から–“フォント愛”あふれる米アドビ書体チームに聞く」
https://japan.cnet.com/article/35143109/
▼「【事例】サントリー社製品「オランジーナ」専用フォント」
https://fontworks.co.jp/news/archives/253
▼「さくらインターネット、コーポレートフォントとしてタイププロジェクトの「TP スカイ」のカスタマイズ版を導入」
https://www.sakura.ad.jp/information/pressreleases/2017/07/18/90190/
▼「凸版印刷がオリジナル書体「凸版文久ゴシックR」を、2月上旬から提供開始すると発表しました。」
https://type.center/news/1365
▼「日本経済新聞社がグループ推奨書体として「たづがね角ゴシック」を選定。」
https://www.monotype.com/jp/事例とナレッジ/事例紹介/日本経済新聞社がグループ推奨書体として-たづがね角ゴシック-を選定/
▼ AXIS Font
https://typeproject.com/fonts/axisfont